団地者は逝ってよし!! PartII

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434名無しさん@お腹いっぱい。
私の通ってた中学の近くに町営団地が公園を挟むように建っていた。
嫌がおうにも目を引く屋上に備え付けてある赤と青の丸い貯水タンク。
自然と街の住民達は「赤ダンチ、青ダンチ」と呼ぶようになっていた。無論私も。
ある夕暮れ、学校帰りに友人と公園のそばを通りかかると、
15−20人の子供たち(小学1〜中学3年ぐらいまで)が二手に分かれて一色即発という雰囲気。
空気銃、遊戯用のカラーバットから木の枝まで子供達は手に手にエモノを持っている。
何事かと呆気にとられる私達の眼前で、不意に年長者の合図で一斉に戦いは始まった。
自分の体の半分にも満たないものの腹部を力任せに殴りつけるもの。
もんどりうって倒れ、右に左に転がり望みもしない土化粧をするもの。
ジャングルジム上を猿を彷彿させる敏捷な動きで渡り歩き狙撃するもの。
空気銃で不意に太ももを打たれ、驚いた鳩のように飛び上がるも痛みと怒りの葛藤の末、
カラーバットを振り上げ反撃をこころみ、めった打ちにするもの。
小学二年ながら「ぶっ殺すぞ!」とすでに花開こうとしている獣的攻撃性を表面にさらけ出すもの。
そこには私の理解の範疇を大きく超えたものが渦巻いており、
いたたまれなくなった私達はその公園をを何かに追われるように去った。
私は一生涯忘れることはないだろう。
戦いのさなか、何事もなかったようにスーパーの袋を手に赤ダンチの階段を登りいく母親を。
翌朝発見した、枝をもがれた痛々しい桜の木々の姿を。
あの幼い子供達の血走った目を。
そしてあの赤と青の丸い貯水タンクを。