中越沖地震で被災した柏崎市内の海水浴場15か所が12日、一斉に海開きした。
観光の主力である海水浴で復興を印象づけたいところだが、東京電力柏崎刈羽原子力発電所の
放射能漏れによる風評被害は依然尾を引き、観光客が見込めない宿泊施設の中には、原発の
復旧作業員らを頼みの綱にする宿さえ出始めた。
昨夏の震災では、原発から微量の放射能が漏れ出した。人体に影響のない量ではあったが
海水浴客は激減し、例年の約100万人を大きく割り込む約16万人と低迷した。
12日の海開きの行事で会田洋市長は「復興重点プロジェクトの一つに、海の柏崎の魅力発信が
ある。水質検査もすべての海水浴場がダブルA。今年こそ多くの人に海に来ていただきたい」と
力を込めた。
しかし、市内の旅館には今でも「原発は大丈夫か」と問い合わせがあり、宿泊の予約も伸び悩んで
いる。原発から約9キロ離れた石地海水浴場の宿泊施設では例年の半分程度。こうした中、鯨波
海水浴場近くの旅館「ニューハワイ」は、原発の点検・復旧にあたる作業員向けに宿を貸し切りに
した。8月末まで宿泊は満室で、経営する男性(41)は「固定客が離れる心配はあるが、一般客
のキャンセルが多く仕方ない」と打ち明ける。
一方、近くの旅館「高岡屋」は、海水浴客だけで夏を乗り切るつもりだ。例年の1割にも満たない
予約状況だが、経営者の菅井輝栄さん(68)は「生活時間の異なる作業員と観光客を同時に受け
入れるのは難しい。ずっと来てくれたリピーターを大事にしたい」と話す。
しかし、地震で一部損壊した建物を約700万円かけて修復し、経営は厳しい。
「観光客に来てほしいが、このままダメならお盆過ぎに作業員を受け入れるかも」と複雑な表情だった。
●地震で崩れた斜面の復旧工事が続けられる中、海開きした海水浴場
http://www.yomiuri.co.jp/photo/20080713-3331519-1-L.jpg ◎ソース 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/niigata/news/20080713-OYT8T00041.htm