富士通ウラ掲示板 その11

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361世界の車窓から〜南武線2006〜
 そろそろ21時を回り繁華街の人通りも少なく、終電も迫ってきたので退勤
打刻し武蔵中原駅の南武線乗り場へと向かった。コンコースの照明は薄暗いが
ホームレスの溜まり場であったガード下商店街は昨年に全て閉鎖され、施設は
改札周りだけに縮小されたので悲しいほどのだだ広さは感じられない。
 地上3階のホームに上がると21時45分の立川行き最終を待つ人が数名。
沿線企業の大量倒産に加え、3年前に往復6車線の府中街道が開通して以来
当線の利用者も激減し、列車本数も大幅に削減され、利用者がゼロに等しく
なった駅は廃止された。
 やがて5分遅れて立川行きが入線。8両分あるホームに2連はやはり
不釣合いだ。新幹線の廃車発生品らしい、たっぷりとした転換クロスシート
に身を沈めて窓外に目をやる。右に浮かび上がる不気味なシルエットは
一昨年売却された富士通の川工本館の残骸。今では、有名な自殺スポットに
なっていると聞く。
 荒れ果てた溝ノ口で乗り降りはゼロで、2両で10人余りの乗客を乗せた
列車は稲田堤でかつての京王の廃線をくぐると高架になる。90kmくらい
は出してるだろうが並行する府中街道の車は150kmを軽く越える流れで
わが列車を追い抜いていく。廃ビル、廃マンションの類ばかり。あれは
3年前に閉鎖した富士通南多摩工場かと思えば、川を渡って頭上を中央道の
高架が跨ぐ。
 府中本町で客の大半は下車する。平日の朝は毎朝列車を待つ人で殺気立った
雰囲気さえあったと聞く上りホームや旧武蔵野線ホームは崩れかかっている。
ここから先の乗客は私一人で列車は分倍河原までの1kmを走る。
 分倍河原で最後の1人を降ろした列車は立川へと走り去る。この駅も無人化
されて久しく、改札口すら跡形もない。ホームから降りた階段の下に止めて
おいた自転車で自宅に向かった。