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四元と四十年来の親交のある元・毎日記者の永淵一郎によると、四元と中曽根は、しょ
つちゅう会っている。新聞に出る以外にも、何度か非公式に会っているという。
「用件があれば、二人ほ電話で連絡をとり合う。一カ月に数回は会っていますょ。それだ
け中曽根は、四元さんを頼りにしている。精神的なものだけじゃない。政治的な判断も仰
いでいる。なにしろ、四元さんは、戦前の近衛文麿内閣以来、戦後は、吉田茂、池田勇人、
佐藤栄作の相談役を務めてきている。政治の表裏をつぶさに見てきている。政治は、、な
により経験がモノを言う世界ですからね。たとえは、右か左か、という場合、論理では決
着がつかない。ところが四元さんは、禅的判断もあるから、明確に決断する。そういうと
ころを、中曽根は頼りにしている」
なかには、四元義隆こそ″昭和の最後にして最大の黒幕″と呼ぶ人すらいる。にもかかわ
らず彼はこれまで皆無といっていいくらい、マスコミに登場していない。驚くべきことに、
『日本紳士録』にも、『人事興信録』のどこにも、社会問題研究会編の『右翼辞典』にす
ら、中曽根康弘の名こそあっても、四元の名はない。
まったく謎に包まれた人物である。