放漫と堕落の果てに
箱島清吉 (73歳 無職 東京都墨田区)
浅草寺散策のついでに浅草産業貿易センターを訪れた。実は今まで産業貿易センターに行ったことがなく、初めて訪れてみた。浅草産業貿易センターの入り口には男たちが大挙して並んでいた。女の姿はまれで、数えるほどしかいなかった。
行列に押されながらエレベーターに乗り込んだ。5階と7階で何かイベントがあるようで、混雑していた。
私は5階で降りてみることにした。
5階はブラックホールなる武器販売イベントが開かれていた。いかにもの服装をした暑苦しい男たちが武器を見定めていた。
私は、なぜ若者が平和な時代に武器を欲するかという疑問にぶち当たった。
戦後60年、我々が懸命に捨て去ろうとしていたものが目の前にあった。
平和教育をおろそかにした結果、若者は右傾化し、年配者は戦争を忘れ、再び軍国主義の亡霊を呼び起こしている。
彼らが武器を欲しがるのも、平和な時間に飽きてしまったからではないかと考えてしまった。
私は失望を覚えて、再びエレベーターに乗り込み、7階へ移動した。
エレベーターの扉が開いた瞬間、饐えた臭いが漂ってきた。
そして、目の前に広がる小林薫のような男たちの集団。
異臭に辟易しながら、そのイベントを見た。
驚いたことに私の孫のような男児を裸にしたポルノ漫画が売られているのである。
中には動物や少年、幼児同士が絡み合っている本もある。
いつから日本はこんな国になってしまったのだろう。
白昼堂々卒倒するような子供の同性の愛を扱った本を売っている。
しかもそれを山のように買っているのが男だという事実を前に、私はますます失望の念を覚えた。
日本は教育を放棄した結果、武器や幼児性愛者が罷り通る悲惨な国になってしまった。
残念でならない。