■黒田硫黄総合スレッド■

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191マンガ家の世界
黒田硫黄は、「漫画の可能性」を感じさせてくれる作家だ。もし誰かに
「何かおもしろい漫画ない?」きかれたら、真っ先にすすめたい、そう
いう漫画をかく人なのだ。
絵柄は素朴にして大胆。代表作の「大日本天狗党絵詞」などは、漫画
ならではのダイナミックな構図で楽しませてくれる。作品によって、筆
を用いたり、ペンを使ったりとタッチも使い分ける。スクリーントーン
をほとんど使わないのも特長だ。
192マンガ家の世界:2001/04/18(水) 15:20
筆を使い始めたのは、「なんとなくおもしろかった」から。連載作品に
筆が多いのは、物理的に筆の方が早くかけるからという理由もある。
「ただ、筆ばかりだと、もし人気がなくて消えた場合、筆を使う変な漫
画家がいたなで終わってしまう。それじゃ悔しいですしね。ペンも使っ
ているんですよ。」
デビューは大学四年のとき。まわりが就職活動をしているなか、「漫画
家になろう」と「アフタヌーン」に投稿した。
193マンガ家の世界:2001/04/18(水) 15:31
実はそれ以前にも三回ほど持ち込みをしたこともあったが、「いつも門
前払い」だったという。
「コマ割りがヘタだと言われたんで、それから一年くらいはコマ割りを
勉強して持ち込んだり...」
その甲斐あって、次の持ち込みでは「コマ割りはうまい」とほめられた。
「ひとつ勝った」と思ったが、今度は「君、文学とか好き?」と否定的
なニュアンスで言われた。
「やっぱなあ、という感じ(笑)。そのころは若いし、頭でっかちな漫
画をかいていたんです」
194マンガ家の世界:2001/04/18(水) 15:43
四年のときは「本気」だった。新人賞の規定頁数を満たすために四本の
短編をまとめて送り、「アフタヌーン四季大賞」を受賞した。その後、
よみきり作品を一本発表し、「大日本天狗党」の連載を始めた。
もっとも、この作品も「最初はよみきり」だったという。
「雪の中に女の子が倒れていて、それをへんな人たちが囲んでいる。へ
んな人たちって誰?と編集さんがきくから、うーん、天狗かなと」
195マンガ家の世界:2001/04/18(水) 15:54
なにげなく答えたら、「それで連載を」と話が進んだ。「人気はなかっ
た」と振り返るが、「日本を天狗の国に」と決起する天狗たちの起こす
はちゃめちゃな騒動と、天狗と人間との間で揺れる主人公「シノブ」の
成長譜は、その独特のタッチやユーモアセンスとあいまって、一躍漫画
好きの読者の間で話題となった。「でも、漫画読みの人たちに人気があ
るだけじゃ駄目なんですよね(笑)。もっと大勢の人に読んでもらわなくちゃ」
196マンガ家の世界:2001/04/18(水) 16:01
現在、「アフタヌーン」で連載している「茄子」は「茄子」を題材にし
たオムニバス形式の作品だ。発売中の最新号は「若隠居」の気分を楽し
む二十歳の男女が登場する。何かが起きるわけではない。ただ買物をし
たり、川原でキャッチボールをしたり、弁当を広げたりするだけ。しか
し、それが読んでいて心地良い。読後感のとても良い作品だ。
197マンガ家の世界:2001/04/18(水) 16:10
取材の待ち合わせ場所にはさっそうと自転車で登場。「スポーツは嫌
いなんだけど、自転車に乗るのは好き」だという。車道を走るため、自
動車の流れに負けないよう時速五十キロで突っ走る。
最近は、方々の雑誌で活躍するようになった。
「おかげさまで、速がきが得意になりました」
注目度はますます高まっているようだ。