漆原友紀『蟲師』−本当の闇、異質な光−

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124名無しんぼ@お腹いっぱい
>>123
「はなしっぱなし」全三巻は絶版です。4Pで一話だったかな。
アフタヌーンに毎月2話ぐらいのペースで連載されていました。もう、10年近く前の話です。
内容は、説明するのがちと難しいけど、不思議な話しをただ、ただ展開する。
結論も何もない。ストーリーの連続性もない。まさに「話しっぱなし」です。
ただ、想像力は素晴らしく、そこに登場する不思議な存在は多種多様でしたし、
話しの展開はまったく予想がつかないものでした。
「緑の座」の中に出てくる蟲は、そこに登場するものとまったく同一です。
ただ、これは123さんのいうような顕微鏡下の世界をベースにしているかもしれません。
当時のアフタヌーンには、そのような顕微鏡下でみた様々な写真を組み合わせた漫画も
ありましたから、資料として使われていたかもしれないからです。

五十嵐さんの長編は「すなかけ」が多分最新作だと思いますが、
その前の「熊殺し....」などは、まだ民話調の色彩が強く、話しっぱなしの世界に
近いものがあります。
話しっぱなしはあまりにも特異な作品なので、ストーリーへの影響というところまでは
書きませんでしたが、随所に似たような印象をもつ部分はあります。
例えば、音を集める阿吽の話しは、雨の音の話し(なまずの話し?)や
山の中の全生物の音を聞く話などが私には共通した感覚から作られているように思えるのです。
幻想という点からいうならば、蟲師はストーリーをうまく作ってまとめている分、
はなしっぱなしには及ばないと思います。(悪い意味じゃないんで誤解なきように)

担当編集の方が同一かどうかは定かではありませんが、同じ流れの中にいることは
間違いないと思います。(近頃は編集者も巻末に名前が載るんですね。ちと驚いた。)
私は雑誌の切りぬき分はほぼ全部持っているのですが、
単行本を買わないでいたために非常に後悔しています。物凄〜くまれに古本屋で
見かけるのですが、大概、1巻のみ。2、3巻を見た覚えがありません。
(あったら速攻で買います。プレミア価格でも買うでしょう。)
このような本当にオリジナル性の高い作品が後の世に残らないことは
非常に残念なことですが、もし、現物を目にすることがありましたら
是非、ごらんになってください。
きっと私の言わんとするところがおわかりになられることと思います。