金箔の神輿の頂には黄金のカジメ焼き３日目

　諸君　ワシはカジメ焼きが好きじゃ
　諸君　ワシはカジメ焼きが好きじゃ
　諸君　ワシはカジメ焼きが大好きじゃ

　かあちゃんが好きじゃ　花野木が好きじゃ　岩源が好きじゃ　西洋スーツが好きじゃ
　ばあちゃんが好きじゃ　良光が好きじゃ　久代が好きじゃ　杉井社長が好きじゃ　玉岡常務が好きじゃ
　房総で　海岸で　岩源邸で　東京で　正太宅で　総武ヨウドで　フランスで　イギリス商会で　カジメ御殿で　山小屋で
　この地上で行われる　ありとあらゆるカジメ焼き行為が大好きじゃ
　砂浜にならべた　カジメ焼きのカマドが　煙と共にカジメを　焼き払うのが好きじゃ
　台風で浜辺に打ち上げられたカジメが　いっせいに工場で燃やされた時など　心がおどったもんじゃ
　岩源が操る　岩源仕様神輿が　村中を走破するのが好きじゃ
　眼鏡をかけて　粗末な小屋から　飛び出してきた玉岡常務に　頂に黄金のカジメをつけた金箔の神輿を見せつけた時など　胸がすくような気持ちだったのう
　札束をそろえた　イギリス商会の代理人が　カジメ焼き要員を　蹂躙するのが好きじゃ
　恐慌状態の西洋スーツが　既に焼き尽くされたカジメを　何度も何度も蹴飛ばしている様など　感動すら覚えたわい
　拝金主義の　玉岡常務が　ヘビに化けて寝室を訪れる様などはもうたまらん
　まっしぐらなワシが　新品の自転車とともに　シャーと声を上げる苦手な蛇に　ばたばたと倒れるのも最高じゃ
　哀れワシが　粗末なカバンひとつで　健気にも早朝５時に初出社したのを　ハイカラででかい扉が
　コケッコッコーをＢＧＭに行く手を阻んだ時など　絶頂すら覚える
　苦手なヘビ常務に　滅茶苦茶にされるのが好きじゃ
　必死に守るはずだった工場が査定され　吸収合併されていく様は　とてもとても悲しいものじゃ
　英国の物量に押し潰されて　買収されるのが好きじゃ
　イギリス商会に札束を撒かれ　害虫の様に地べたを這い回り札束を拾い集めるのは　屈辱の極みじゃ

　諸君　ワシはカジメ焼きを　地獄の様なカジメ焼きを望んどる
　諸君　ワシに付き従う元総武ヨード社員の諸君　君達は一体　何を望んでいるのじゃ？
　更なるカジメ焼きを望むかのう？　情け容赦のない　糞の様なカジメ焼きを望むかのう？
　鉄風雷火の限りを尽くし　三千世界の鴉を臭いで殺す　嵐の様なカジメ焼きを望むかのう？

どっせー！！　どっせー！！　どっせー！！

　よろしい　ならばカジメ焼きじゃ
　我々は満身の力をこめて　今まさに振り下ろさんとする握り拳じゃ
　だが　この煩い東京で　何十年もの間　堪え続けて来たワシ等に　ただのカジメ焼きではもはや足りん！！

　大祭りじゃ！！　一心不乱の大祭りじゃ！！

　ワシらはわずかに一企業　千人に満たぬリストラ社員に過ぎん
　だが諸君は　一騎当千の古参社員だと　私は信仰しとる
　ならばワシらは諸君とワシで　総兵力100万と1人の企業集団となるのじゃ
　わし等を忘却の彼方へと追いやり　眠りこけている連中を叩き起こそう（眠らんがのぅ）
　髪の毛をつかんで　引きずり下ろし　眼を開けさせ　思い出させよう（髪も無いがのぅ）
　連中にカジメの臭いを　思い出させてやる
　連中にわし等の　カジメ焼き臭を思い出させてやる
　天と地とのはざまには　奴らの哲学では思いもよらぬ事がある事を思い出させてやる
　一千人の房総の村民で　世界のカジメを燃やし尽くしてやる