1 :
名無しんぼ@お腹いっぱい:
江川達也その人気の秘密
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「東京大学物語」をはじめ、数々の熱すぎるメッセージソング、もとい、ヒット作を産み続け、まさしく平成の柳沢きみおとも言える大流行漫画家・江川達也先生。
そのヒッピー思想を引きずった70年代的悶々系主人公の熱すぎる思考のドグラマグラが苦手な筆者はこの人の漫画を殆ど読んだことがなかった。
何故なら、筆者自身、ついつい自意識の罠に落ちて思考のドグラマグラ状態に陥ってしまう体質であり、心療内科のお医者さんから「あんたは人間が生きていくために必要な自信が完全に欠落しているから、あまりグダグダ悩みなさんな」と頭がボーッとするクスリを処方され、自意識に関して思考することを止められているダメ人間だからである。日本社会の病巣である学歴社会についてもあまりにも真剣に悩み抜きすぎて気がつけば高校二回中退大学一回中退だ!! 一応最後は卒業したけど・・・何やってんだトホホ。また、若さ故のあやまちからヒッピーコミューンに出入りしてしまい拭っても拭いきれないトラウマを植え付けられたというトホホな過去もあり、いろんな意味でこの現代社会に向けてヒッピー思想をこれでもかとアジってくる江川達也先生の作品は筆者にとっては「なんとか正常人ぶって生きている今の自分を壊してしまう地雷」が無数に埋まった絶対危険地帯なのである。「まじかるたるるーと君」は別ですが。でもあれも子供漫画なのにユダヤのカバラ使うなんてやっぱり危ないよな。
しかし、「東京大学物語」をはじめ、これほどデンジャラスなフリークアウトを勧めるアジ漫画ばかりを描いている江川先生が、なぜ、かくも薄すぎる現代の若者に人気なのか? 筆者はこの点についてずーっと苦悩していたのだが、その謎が、ついに先日氷解した。
というのは、もうすぐ結婚して人生の墓場に入るサラリーマンの友達がボソリとこう言ったのだ。
「江川達也の漫画ってエロくてええなあ〜」
がーーーん
そ、そうなのだ、江川達也先生の描く女の子は、圧倒的にかわいくてエッチだ! そして話は常にエロい!! そういわれてみれば(いわれなくても気付けよ)「ゴールデンボーイ」なんてまんま平成版「俺の空」ではないかーっ!!
多くの一般的読者は、江川先生のあの濃くて自意識のドグラマグラ地獄に読者をいざなおうとする呪術的なメッセージソング、もといネームを読み飛ばして、とにかく女の子の顔とハダカを観ていたのだーっ!!
なっ、なるほどー!!
そういう観点から「デッドマン」を読んでみると、これが実にエッチで面白い! 伯爵(高校生とは思えぬ渾名・・・)が例の調子で何やら難しいヒッピー思想をアジテートしているが、これを読み流してひたすら「はあ、はあ、はあ」とヨガっている女の子の絵だけを見るのだ! すると、とても面白いーっ! しかも後にも引かない! 「あああ俺の自意識はこの社会の構造の中ではゴミのようなものなのだ俺の人生なんてちっぽけで獲るに足りない小市民的なくだらないものにすぎないのだ俺は一生涯こんな美人のおねいさんとプールサイドやらクルーザーやらでゴージャスなセックスをすることなどなく無駄に年老いて誰にも愛されずにゴミのように消えていくのだ」などと悩まなくても江川作品は読めるのだ!!
「うおっ、ええ女やーっ! ええのうー、ボッキイーン!」
そうか、これが正しい江川漫画の読み方だったのかーっ!!
これで、ええんやーーーっ!!
・・・こうして筆者は、江川達也先生の漫画を楽しく読めるようになったのです。めでたしめでたし。
しかし、これでは、一応漫画評論みたいなものを書いている人間としては、モロに漫画読み失格なような気が凄くするのですが・・・いや、そもそも江川先生はそんな下半身至上主義的な読まれ方にご納得しておられるのだろうか? などとまたぞろ悶々と考え込んでしまう訳だが、まあいいや。
2 :
名無しんぼ@お腹いっぱい:2001/03/30(金) 05:38
3 :
名無しんぼ@お腹いっぱい:2001/03/30(金) 05:44
江川達也作品紹介
BE FREE(文庫版だと 全7巻)
江川達也最初にして超大作。高校数学教師、笹錦洸(ささにしきあきら)がハチャメチャやる。それでも30年後に文部大臣になるという設定。教育とは、SEXとは、マインドコントロールとは、歴史とは、社会とは、現実とは、幻想とは、自由とは、暴力とは、正義とは……。初期から江川達也の描いてきたことは変わらない。
まじかる☆タルるートくん(ジャンプセレクションだと全16巻)
主人公、江戸城本丸が大魔法使いタルるートを呼び出す。魔法を使っていじめられッコの本丸を助けるところはドラ○もんと同じようだが、本丸はの○太と違って魔法を使って自分自身を鍛えて本当に強くたくましくなっていくのだ。「足る」ことを知らなければならないマンガ。
東京大学物語(1〜32〜)
村上直樹と水野遥のラブストーリー。村上はめちゃくちゃ頭がよく、普通の人の30倍の速度かつ同時に11個のことを考えることができる。しかし、考えた末の行動はいつもいいことなし。逆に遥はとても素晴らしい人間。実際、遥ちゃんのような女の子というか人間はいるのだろうか。江川達也の理想の人間像を描いているのだろうか。大学になんのために行くのかとかも考えさせられる。ドラマにもなったほどの人気作品。
GOLDEN BOY(全10巻)
大江錦太郎が人生の「おべんきょう」をするためにあちこちを転々とバイトをする。世の中の誘惑に流されないためにいろいろなおべんきょうをする。お金を貯めるのではなく、おべんきょうを貯める。錦太郎が女子高生になったりもするのだが、そこが一番面白い。オレ的には江川達也作品の中で一番衝撃を受けた。
タケちゃんとパパ(1〜3〜?)
江川達也の息子の江川毅至ことタケちゃんの成長を赤裸々に描いた子育てマンガ。江川達也はタケちゃんに好きなことをやらせてあげるのだが。けっこうタケちゃんわがままになってしまうが、これでいいのか江川達也。ママの江川麻里さんもいいかんじ。
HAPPY BOY(全3巻)
ゲンキくんとゆかいななかまたち。魔法使いのミカに出会い、旅へ出る。ゲンキはおもしれーことしかやらない。しかし、おもしれーことは成長が早いということをこのマンガでは表現している。
魔道天使うんポコ(全4巻)
うんちの形をした天使「うんポコ」様がみんなを幸せにするためにいろいろやってくれる。本当の幸せとは何か。けっこう江川達也の言いたいことが直接的に描かれていてわかりやすいのではないだろうか。
ラストマン THE LAST MAN(1〜9〜)
中学生の大森愛と弟の正義が道端で10歳くらいの人間を拾う。マコトという名前をつける。最初は歩くことすらできなかったのに、マコトの成長はとてつもなく早い。マコトは一体何者なのか。江川達也、超気合入魂作品。LAST100からカウントダウンしていくのも特徴。つまり全100話なのか?。強いものだけが最後に生き残る…。
DEADMAN(全6巻)
舞台は昭和51年。イギリス帰りの男、伯爵こと黒澤龍一が高校に入学。趣味は人間観察。最近の自然からかけ離れた生活に警告を送るマンガ?。ラストマンと雰囲気は違うけど言いたいことは同じかなぁ?。
その他
ネオデビルマン(1の二話目)
いろんなマンガ家がデビルマンを描く。その中のひとつに江川達也が参加している。
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を書き込もう。その場で自分の言いたいことは2番目に書くとよい。
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有益な過去ログを飛ばさないためにも、守りましょう。
■重複スレッドと判明した場合、レスを付けずに沈めよう。
5 :
名無しんぼ@お腹いっぱい:2001/03/30(金) 05:46
講談社漫画文庫BE FREE!4巻解説文
・1996-1997.Toshio OKADA all right reserved.
|江川氏とは、長いつき合いになる。
僕は新しい人とつきあうのが大好きで、友達に対しても、熱しやすく醒めやすい。でも彼とは本当に長くつきあっている。江川達也の魅力的とは何なのだろうか。この原稿では彼のマンガから離れ、マンガ家・江川達也自身のキャラクターの魅力を語ろう。
僕にとっての彼の魅力は、「アンバランス」にある。彼は本書、『BE FREE!』でカルトな人気を得、『まじかる☆タルるーとくん』で伝説の最盛期『少年ジャンプ』を牽引した。『東京大学物語』はSMAP主演のトレンドドラマ化され、押しも押されもしないメジャーマンガ家だ。
そんな彼の一面は「フツーのいい人」だ。お正月には、長男・毅ちゃんの写真がでかでかと印刷された年賀状を送ってくる親バカ野郎だし、どんなにスケジュールがきつくても、編集者に何度も何度も頼まれると、つい情にほだされて新連載を引き受けてしまう。カラオケに行くと、何人で行っても2曲に1曲は自分が歌いたがる迷惑野郎だが、単行本でアシスタントの名前をキチンと公表する律儀な実業家でもある。
これだけ並べると、「まぁ江川さんって、偉いのにイイ人ね」で終わりだが、彼の場合、決してこれだけでは終わらない。
まず何と言っても、絵が上手い。単に上手いのではない。過剰なほど上手いのだ。
僕は以前、彼が高校の時描いたという『盾と矛』という変なマンガを見せて貰ったことがある。「弁証法をマンガにした」というその作品は、地球の果てから最強の盾を持った男が、反対の果てからは最強の矛を持った男がやってきて、最終戦争が始まるというストーリーだった。こいつ、なに考えてんだ、と呆れたことを憶えている。大学ノートにびっちりと数百ページもある大力作でそれでも未完だったが、これが結構読ませるのだ。流石としか言いようがない。
また、大学アニメ研でみんなと作ったという紙アニメ「鬼」も見せて貰った。ただの素人が作った紙アニメなので、画面も白っぽくて見れたものではないのだが、江川氏が担当したシーンだけ、異常に上手い。鬼がリアルで怖い。鉛筆の描き込みがすごく、そのシーンだけ真っ黒なのだ。「これ描いてるヤツだけ上手いよなぁ。可哀想になぁ」と思ったのをよく憶えている。
この上手さを本人も心得ているところも、またイイ味だ。「人体の解剖図って、どれもこれも絵が下手なんですよ。見れたもんじゃない」 江川氏は、絵に関しては他人を厳しく批評する。「ところがこの前、結構上手いのを見つけたんですよ。おっ、こいつ、僕と同じくらい上手いじゃん、って思って見たら、レオナルド・ダ・ヴィンチだったんですよね」彼は、大マジメで教えてくれた。聞いてる僕らが大笑いしても、彼は「何でみんな、笑うの?」ときょとんとしている。そこも江川氏らしい。
江川くんのアンバランスさは頭の良さでも発揮される。そんじょそこらの頭の良さではない。江川くんに会ったマスコミ人・編集者が声をそろえて「頭のいい人ですねぇ」と感心するぐらい有名である。
複雑な現象を単純化し、問題点をまとめてわかりやすく図解する手際は、いつ見てもほれぼれする。以前、『東京大学物語』のストーリーメモを見せて貰ったことがある。たいてい、マンガのストーリー・メモなんて、他人が見ても何が何だかわからないし、わかっても面白くもなんともないものだ。が、江川氏のメモは、何と見事に図解化されていて、それを読むだけでも面白いのだ。これは本人がいかにストーリーを、キチンと論理的に把握しているか、そして表現の多様性を持っていないとできない技だ。
本書『BE FREE』も、江川氏にとっては、教育問題に関して人々がもっと考えるようになるように描いた啓蒙の書であるらしい。彼によると「世の中は放っておくと、頼みもしないのに戦争を起こしたり、官僚が腐敗したりして、僕自身が住み難くなる。僕は本当は、他人のことなど放っておいて、楽しくマンガを描いて暮らしたいのだが、そうも言っていられない。世の中がダメにならないように、仕方なくこういうマンガを描いているんだ」ということになる。
僕は、彼のこういうお節介な、ヘンな、壮大な考え方も大好きだ。僕の目には、こんな江川氏が『BE FREE』の主人公、笹錦のように映る。心優しく、頭も良く、何でもできるスーパーヒーローであると同時に、その熱心さ、思想の壮大さ、過剰な行動力ゆえにギャグマンガの主人公にもなってしまう人物である。僕はいつも心の半分で「スゴイ!」と賞賛し、心の半分で「なんて大仰なヤツだ」と大笑いしている。この、アンバランスさこそが、江川達也の最大の魅力であろう。
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