ヒストリエ - 岩明均 43

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216名無しんぼ@お腹いっぱい
しかしこの漫画って本当に構成が緻密だよね〜。
フィリッポス落ちが分かったあと読み直すと様々な仕掛けがしてあることに気付く。

最初にエウメネスの名前聞いたときに「エウメネス・・・・」とつぶやいたのは
門を出る時の「地球云々」と合わせて、すでにフィリッポスはアリストテレスから
道中で出会ったエウメネスの知恵と知識の深さを聞かされてたことが分かる。

次に知恵を借りるために「アンティゴノスさん」と呼びかけてもボ〜として他人事のように
なってたのは本当は違う名前だから一瞬自分が呼ばれてると気付いてなかったってこと。

それからエウメネスがマケドニア軍にむかって叫んでるを見てペルディッカスが歩兵を止めたときに
メナンドロスが言った「若い衆」って他国の軍の将校を呼ぶ言い方としては違和感があったし
それを受けてのアンティゴノスの「・・・少し気にしすぎだな」も意味不明だったんだけど
2人が軍内部の人間と分かると、「自分の軍の若い衆」だし、エウメネスの行動が軍に対して
挑発的ではあっても、国王が変装していっしょにいて、これからカルディアに潜入する作戦であるのは分かってるんだから
カルディアを刺激しかねない歩兵を停止させる指揮は確かに「気にしすぎ」な訳で
非常にすっきりする。

そしてエウメネスが一瞬で大軍の行進パターンを読んで安全な進路を見つけ
カルディア包囲の意図を把握して、手出しされにくい格好をしてそこを通り抜けたその根拠を聞くと
全く王である自分と同じ発想をしたエウメネスを、まだ身分は明かせないが
どうしても欲しいと思ったんで「ワシのところで金を稼いでみんか」と誘うフィリッポス。

他にもちゃんと背中にある2筋の刀傷、アフラマズターの紋様、カリステネスの”適材適所”など
本当に隅々まで全く無駄がない!
何度でも読み返しても読み応えがあって飽きないし新たな発見ができる。
浦沢漫画の散々思わせぶりな描写しておいて結局放置したまま終わったり、なんとか種明かししても
中身薄かったり矛盾してたりといういい加減ぶりとは真逆の対極だよね。