作家はたいてい若い。また、描ける人間、描きたい人間はいくらでもいる、売れるか売れないかなんて
編集部の売り込みしだいだ、と考えがちである。
(中略)
しかし、基本的にこれは考え違いだ。ちょうど、出版社の営業部が書店に出向いて営業をするときに似ている。
出版社の人は自分が本を作っている、という立場でものを言う。
一方書店の店員は、自分が需要を作っている、という顔をする。
けれども、この両者は、実は生産者でもなければ、消費者でもない。
単なる流通の中間ポイントにいる人間にすぎない。
そういったサービスとしての立場を忘れると、いずれはそのポイントを飛ばされ、生産者と消費者が直接アクセスすることになるだろう。
作家担当の編集者は生産者ではない。
あくまでも効率を高め、情報の流れを良くする機能を担っているにすぎない。
だから、マネージメントやサービスに努めるべきだ。
ときどき、「あの作家は俺が売り出してやった」と自慢する編集者がいるけれど、聞くたびに白けてしまう。
優れた編集者は、必ず謙虚である。僕の知るかぎり、例外は1人もいない。否、これは、編集者に限らないだろう。
僕が編集者に求める第一の条件は、誠実さであり、第二は、精確さである。
http://blog.mf-davinci.com/mori_log/index.php ええこといいなはる。