美味しんぼ195「あなたには人の心がわからないの」

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18名無しんぼ@お腹いっぱい
明日、5月12日は私に取って特別の日になる。
明日、5月12日、月曜日発売の、ビッグ・コミック・スピリッツ誌の2008年度第24号に掲載される「美味しんぼ」第489話その11で、
1983年の暮以来連載を続けて来た「美味しんぼ」に一区切りをつけることになったからだ。
「美味しんぼ」をやめてしまうわけではない。
「日本全県味巡り」は続けるし、他にも、第101巻の「食の安全」のように、意味のある主題に出会えばそれで単行本一巻を作るつもりだ。
現在、「美味しんぼ」の単行本は年に4冊でているが、
当面「日本全県味巡り」中心で、年に2冊出せればと考えている。

編集部は一区切りつけることを仲々承諾してくれなかったし、
花咲さんは「死ぬまで描きましょうよ」と言ってくれていた。
今回一区切りつけたのは、ひとえに私の我が儘からである。

読者の皆様ご愛顧は変わらないし、編集部も私を大事にしてくれるし、
花咲さんはますます絵が上手になる。
区切りをつける理由は何も無い。
これで、「美味しんぼ」を一区切りなどと言うのは許されざる我が儘だ。

私が一番恐れるのは、作品の質の低下である。今でも、初期に比べると大分質が低下していると思う。
読者諸姉諸兄が甘やかしてくださるからと言って、だらだらと惰性で作品を書き続けるのは恥ずべき事だと思う。

「美味しんぼ」は1983から始めたから、今年で丸25年になる。
一つの作品を25年も続けていると、どうしても最初の頃の輝きが失せてくる。
それでもいいじゃないかという声もあるが、私は厭なのだ。

私は、「立つ鳥跡を濁さず」という言葉が好きだ。
きれいに引いてこそ、人間の価値が有ると思う。

そう言うことを考えて、一旦区切りをつけることにしたのだ。
私の小学校の同級生の一人からは、「毎週楽しみにしている読者のことを考えろ。勝手なことをするな」と叱られた。
そう言って貰えるのは有り難いことだ。
しかし、そう言って貰える間に区切りをつけた方が良いと私は思う。