夢枕獏×板垣恵介【餓狼伝】38 チョーッ!チョーッ!
バレ
とあるビルの中のヤクザの事務所。
豪華なソファーに幹部らしきパンチパーマの男が座っている。
男「まァ・・・くつろげや」「・・・・初めてかい?こういう場所は・・・」
男の頬には大きな火傷の痕、そして指にはいかつい指輪がいくつも付いている。
男「この部屋にあるモンはどれも年代モノや超骨董品・・・・ま、親父の趣味よ」
「・・・・あン?」「ああ、それか・・・・」
男が見上げるとそこには巨大なホッキョクグマの剥製が。
男「すげェだろそれ」「10メートル近くあるンだとよ」
「・・・いくらだったかって?」「イヤ・・・こいつは買ったモンじゃねェ・・・」
男、煙草に火を付け深く吸って紫煙を吐く。
回想。吹雪の中、立ちすくんでいるヤクザ達。
男「―――組の慰安旅行で北極行った時の話よ・・・」
「北極ってよォ・・・寒ィんだよなァ・・・」
「吹雪の中でよォ・・・ガチガチ震えながらよォ・・・・」
「・・・・俺らは見たンだよ―――――」
驚愕の表情のヤクザ達。
吹雪の向こう側で巨大な影と小さな影が動いている。
男「目を疑ったぜ・・・」「トラックみてェな・・・その・・・ホッキョクグマとよォ・・・」
ホッキョクグマが全身から血を吹いてのた打ち回っている。
男「俺より小っちぇえ男がよォ・・・」
ホッキョクグマの爪をかわして腕を取る小さな影。
「 取 っ 組 み 合 っ て た ン だ 」
チョー先輩「チョーッ!チョーッ!」
チョー先輩、そのまま腕ひしぎを極める。
骨と血を撒き散らしてブチ折れるホッキョクグマの腕。
雄叫びを上げるホッキョクグマ。
男「自分の何倍もよォ・・・いや・・・何十倍も大きい熊相手によォ・・・・」
「あの男が何者なのか――今どこにいるのか――見当も付かねェが―――・・・」
「やっぱ今も・・・・どこかで―――――」
場面変わって武道館の廊下を歩いているチョー先輩。
するとその前に久我さん登場。
久我さん「逢いたかったぜェ・・・・・」
厳しい顔つきのチョー先輩。
次号。