今、日本人に「のらくろ」の姿を見せて「見たこともない。」と言う人が何人いるでしょうか。
「のらくろ」は、漫画家・故・田河水泡先生(1899〜1989)の作品で、昭和6(1931)年、
講談社の少年向け月刊誌「少年倶楽部」1月号で産声を上げました。
体も小さく、親もいない野良犬黒吉が、ブル連隊長率いる猛犬連隊に入隊し、
失敗を繰り返しながらも、持ち前の明るさと負けんで次々と出世していく・・・。
そんなあたたかく朗らかなサクセスストーリーに日本中の子供が歓喜し、「のらくろ」ブームが訪れます。
その後太平洋戦争中に内閣情報局より執筆禁止令を受けるまでの10年間、
その人気は衰えることはありませんでした。
戦争で中断してしまった「のらくろ」ですが、戦後不死鳥の如くよみがえります。
「のらくろ」が相撲取りになったり、植物学者になったりする番外編が数編書かれた後、
雑誌「丸」(潮書房)に続編が連載されました。
そして、昭和42(1967)年に、戦前の「少年倶楽部」に連載された全てを収めた「のらくろ漫画全集」
(講談社刊)が発売され、第2次「のらくろ」ブームが訪れます。
そんなブームの中で、戦前に発売された単行本の復刻版「復刻版のらくろ漫画全集」全10巻が発売され、
「丸」に連載されたものが正統な続編として単行本化(「続のらくろ漫画全集」全5巻)され、
50年にもわたる「のらくろ」の漫画は完了したのです。
現在、日本は世界的な漫画王国と言われます。
戦後の漫画文化の隆盛の元を作ったのは、故・手塚治虫先生だとは誰もが認めるところでしょう。
その手塚治虫先生もが影響を受けた、いや、漫画の世界へといざなったのが、田河水泡先生であり、
「のらくろ」だったのです。
つまり、「のらくろ」こそ日本の漫画の原点と言えるのです。
管理人は子供の頃、無類の漫画好きだったこと、何故か昭和初期の文化に興味を持っていたこと
(小学生のくせに...)、そして何よりも戦前以来の大「のらくろ」ブーム(第2次)で、
次々と「のらくろ」関連の本等、グッズが発売されていたことが重なって、
「のらくろ」と出会うことができました。
のらくろがジパングにでていたら、もう少し面白くなっていたに違いない
No タイトル 出版社 発売日 備 考
1 少年倶楽部 講談社 1931/01
〜1941/06 全ての始まり
2 のらくろ上等兵 講談社 1932/12/05 「少年倶楽部」連載分を書き下ろし
3 のらくろ伍長 講談社 1933/12/05 「少年倶楽部」連載分を書き下ろし
4 のらくろ軍曹 講談社 1934/12/09 「少年倶楽部」連載分を書き下ろし
5 のらくろ曹長 講談社 1935/12/14 「少年倶楽部」連載分を書き下ろし
6 のらくろ小隊長 講談社 1936/02/11 「少年倶楽部」連載分を書き下ろし
7 のらくろ少尉 講談社 1937/05/14 「少年倶楽部」連載分を書き下ろし
8 のらくろ総攻撃 講談社 1937/12/15 オリジナル書き下ろし
出版社も講談社
モーニングで再連載してほしい