蒼天の拳6

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112名無しんぼ@お腹いっぱい
〜霞羅門の冒険〜第一話

時は197X年日本。兄・霞拳志郎より北斗神拳伝承者の地位を譲られた霞羅門は、
ケンシロウという愛息子に恵まれ、平和な時を過ごしていた。
ところがある日、羅門はいつものように早朝の鍛錬に道場へ向かおうとしたところ、
庭に得体の知れない空間が浮かんでいるのに気が付いた。
何だろうと手を伸ばした瞬間だった。あっと思う間もなく謎の空間に引き込まれ、羅門は意識を失った。

羅門が意識を取り戻した時、そこは全く見たことも無い世界だった。
「ここは一体どこだ!?」
今まで住み慣れた日本の風景とは似て非なる世界。どうやらどこかの道場に落ちたみたいだが、
今まで住んでいた道場とは違う。
しかし看板を見ると北斗神拳の道場と書いてある。
「ここは…、俺の道場?」
首をかしげる羅門。そこへ見慣れない男が現れる。
「リュウケン様、世もだんだん乱れてきましたなあ。例の軍事国家が修羅の国に攻めこんだとか。
我が国もおちおちしてはおられませんな。」
(リュウケン!?誰だそれは?俺のことか!?俺は霞羅門。リュウケンなどと名乗ったことは無い。)
羅門は慌てて先ほどの男を呼び止めた。
「人違いではないかな?私の名は霞羅門。一子相伝の北斗神拳伝承者といえば知らぬものは無い。」
「これは奇妙なことをおっしゃる。一子相伝の北斗神拳伝承者リュウケンといえばあなた以外におりますまい。」
(こ…これは…!!やはり私は全く別次元の世界に飛ばされたのか!?
そしてこの世界では私の名はリュウケンというのか!!)

続く
113名無しんぼ@お腹いっぱい:01/11/18 23:40
〜霞羅門の冒険〜第二話

(なんということだ。このような見たことも聞いたことも無い世界に送られ、
私にどうしろというのか。…待てよ、では私の家族は一体どうなっているのだ?
我が愛しき一人息子ケンシロウはこの世界ではどうなっているのだ!?)
「一つ聞かせてくれ。私の家族は、私の息子ケンシロウはどこにいる?」
「はてさて、今日のリュウケン様は様子がおかしいですなあ。あなた様には生来子は一人もおりませぬ。
常日頃からあなた様の代で北斗神拳は途絶えてしまうのではないかと嘆息されていたではございませぬか。
何かよからぬ夢でもご覧になられましたかな?」
(なっ、俺には息子がいないだと―――っ!?晩年になってようやく授かった我が息子!!
それとも俺は引き離されたというか――――っ!!)
唖然とする羅門。そこへまた別の男が慌ただしく駆けつけてきた。
「リュウケン様!ジュウケイ様より連絡が!
修羅の国より是非三人の子をリュウケン様の養子に送りたいとのことです!」
「ジュウケイ!?誰だそれは?」
「え?」
「やはり今日のリュウケン様は疲れておいでと見える。
お忘れになったか?かつてこの北斗神拳の道場を襲い、あなた様と激しい戦いを繰り広げたこともある
北斗琉拳の伝承者、ジュウケイ殿を!!」
(なっ、北斗琉拳!?馬鹿な!北斗に派はない、北斗を冠した拳は北斗神拳のみ!!
そのような拳聞いたことも無い!ましてジュウケイとは何者だ!?)
「む、むう…。」
「ジュウケイ殿によりますれば、三人とも天賦の才を持った男子、
しかも一人は北斗宗家の血を引くそうですぞ!」
「おお、北斗宗家の血を引く男子が残っておられたか!ジュウケイ殿の目に狂いはあるまい。
これなら北斗神拳の後継者にはうってつけですぞ!」
(北斗宗家!?なんだそれは!?北斗神拳は一子相伝で守られてきたんじゃないのか!?
ていうか、じゃ俺は一体何者なんだ!?)

それから数日後、二人の少年が赤子を抱えて北斗神拳の道場に現れた。
「お前たちの名は?」
「ラオウ、トキ。」
「その赤ん坊は?」
「ケンシロウ!」
「なっ、ケンシロウ!?」

続く