最初に、注目しなければならないのは、
馬というものは元来、群れをなして生活し、
集団で行動する動物であり、単独の行動ができない臆病な面を持っていることである。
遅れた馬は必死に群れの中に入ろうとし、群れには必ずリード・ホースが現れる。
こうした習性もレースそのものを形作る。
さらに、馬が集団行動をする動物であるからこそ、
その中には『ボスの存在』が不可欠となり、
集団に序列ができることになる。
『群れには決まって1頭のボスがいる。』
『その集団のすべての牝馬は、ボスの妻である。』
ボスは、馬の社会における最高権力である『交配権』を握っており、
生まれてくる全ての仔馬は、ボスの仔どもとなる。
馬産界の、スタリオン・システムは、野生馬の群れにおける、ボスと牝馬たちとの関係を、忠実に模したものである。