一般的には、隆慶一郎の時代小説「一夢庵風流記」およびそのコミカ
ライズ作品である「花の慶次 ―雲のかなたに―」などの影響により、
世間に豪腕な武人・超一級の戦人のように印象づけられたと思われが
ちである。だが実際には、すでに隆慶一郎登場以前から、海音寺潮五
郎、村上元三、大佛次郎、菊池寛、司馬遼太郎等、著名な作家たちの
手により、そのようなスタンスで描かれていた。この事実は「一夢庵
風流記」のインパクトが強すぎるがゆえに、忘却されている感も見受
けられるが、利益が過去から現在に至るまで作家の創作意欲を刺激し
てやまない魅力的な人物であり続けていることに変わりはない。