アルフレッドブレンデルという男

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95名無しの笛の踊り
>>90
1980年代後半の録音は、単に「弛緩」していると思う。
彼が言うところの、「直感に戻」ろうとしたのだろうが、
大天才だけに許される「身体の生理のみに従う」ことを重点においた演奏になっており、
残念ながらそれが上手くいっていない。
グルダやアルヘリチの天才性は、
もとから体の中にある「生理」の即興的・即発的な発露と思うが、やんぬるかな、
ブレンデルにはそれがほぼない。(というか、少なくともそれを音として出力できる指のテクニックが
ない。) 1970年初頭の、「売り出し中」の彼はよくそれを自覚していたから良かったが、
売れちゃってからは油断してしまった。 よく聞くと、音楽がパターン化してしまっとる。
(これは勿論、物凄く上のほうのレヴェルの話ですよ。だってウィーン古典派の
録音なんて、いわば「激戦区」なわけだから。)
グルダの「平均率」やモーツァルトは、これほどピリオド楽器の演奏が百花繚乱の現在、
いまや時代遅れも甚だしいと思われるが、「ベートーヴェン・ソナタ」についてだけは、
あと30年は生き残るような気がする。