ブラームスのsym.4thって大好きなんですけど。

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407ブラ4日記
チェリビダッケ、シュツットガルト放送響(1974)

同じ音源がAudior(別名、緑)からも出ているそうですが、DGの方しか
持っていません。ノイズをとっているせいか、ここぞというところで発せ
られるチェリがオケに渇を入れる気合いもややくぐもって聞こえます。
ただ、DGと緑の両盤では、かなりピッチが違うという話も聞きました。
このあたり詳しい情報がいただければありがたいです。

テンポはミディアム・テンポですが、例によって第1楽章より長い第2楽章が
やや遅めで、それについてはまた後でふれることにしましょう。
また、随所に聞こえるシャリシャリと鳴る音はチェリの手首のアクセサリー
でしょうか(笑)。
第1楽章冒頭から神経が張り詰めた入りで、第1音はわずかに短いのですが、
3小節目あたりから少しテンポを速めていくと、あとは適度にテンポを
揺らし叙情性を醸し出しながらも、要所要所の抑制が効いていて、曲の
テクスチュアが浮かび上がってきます。ちなみにこの冒頭の入りは
私の中ではクレンペラーのライブと双璧です。また、ボールトのところで
触れた90〜94小節(334〜338小節も)における対抗配置のヴァイオリンの
掛け合いの美しさはボールトよりもさらに澄み切って、もう感涙ものです。
そしてこれは全体を通じて言えることですが、確かな音程の、圧倒的な美音
の洪水に圧倒されまくります。チェリがこの作品の核と見なしているらしい
第2楽章に進むと、第2主題の美しい旋律が出て来る箇所で極端にテンポを
落として、管弦楽の綾を解きほぐしスキャンするようにしながら、しかも
途方もなく美しく響かせるチェリお得意の技も登場します(笑)。さらに
再現部で第2主題が出て来るところ(88小節)など、直前の弱音を受けて、
そのままにかすかに奏で始められたり、コーダ手前のパウゼとそのあとに
続く絶妙のクラリネットのカデンツなど、はまりにはまっているといった
印象です。
408ブラ4日記:01/08/29 21:55 ID:vvaKKkeM
(つづき)
第3楽章もいつもながらのチェリ独特の美音でしかも構築も見事。
第4楽章は変奏ごとの表情の変化を見事に捉えきっているといった按配で、
第12変奏以降の木管や金管の節回しなどメランコリックな味わいもあり、
特に繊細で神々しいトロンボーンのコラール風の旋律はまずチェリ以外では
聴けないものでしょう。ちなみにここは初来日時の読響との演奏でも印象的
でした。第16変奏以降はかなりテンポの揺れが大きく、コーダではなかなか
激しさも感じさせながら、決して音が濁らない、どこまでもどこまでも
チェリの美意識が透徹した名演といえるのではないかと思いました。
耳になじんだブラ4という曲に、こんな美しい瞬間がこれほど隠されていた
のかと耳を洗われるような演奏です。