ブラームスのsym.4thって大好きなんですけど。

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302ブラ4日記
セル、クリーヴランド管(1966)
セルというと、
1 鉄壁のアンサンブルによる精度の高い合奏
2 各パート間の抜群のバランス・コントール
に加えて、もうひとつ第3の必殺技があって、その第3の必殺技が
この演奏の前半2楽章で炸裂していました(笑)。
冷徹とさえ言われる世評とは裏腹に、第1楽章の冒頭を何とも繊細に
柔らかく入り、あとは波間に浮かぶ小舟さながら、全体にやや遅めの
テンポの中で、緩やかにテンポを揺らしつつ、やがて漸進的にテンポ
を上げていきながら、コーダへとまとめていく。さぞやロマンティック
な演奏に仕上がるだろうと思いきや、フレージングをきっちり整えすぎて
旋律の流れを異様に窮屈にする、というあの第3の必殺技によって
そうは仕上がらなかった、というところでしょうか。
特に第1楽章の80小節での弦のピツィカートのfや170小節以降の
リズムの刻みを際立たせるために、テンポを落として、これでもかと
やるあたり、思わず、さすがセル!と笑えます。(持ってる人は 2:28〜
&5:10〜に注意して聞いてみよう!)第2楽章も各声部のバランスなど
見事で本当に美しい演奏なのですけど、杓子定規なフレージングが抒情の
高揚を自ら冷ましているようなところがあります。こうしたことが
重なって、ロマンティックな演奏になりきれなかったという具合に
聞きました。けれどもこの最初の2楽章では、合奏の精度が生み出す
弦の美しさも今までの演奏の中では抜きん出ています。第3楽章も
セルらしくびしっとやっていて、パート間のバランスよさで実に
多彩な表現がなされているのですが、オケのトーンのせいか、寒色の
緻密なグラデーションといった印象。第4楽章では、強弱やアクセント
を厳密に行ないつつ(第11変奏のフルートは聞きもの)、テンポの
変化もけっこう大胆にやっているので、変奏ごとの表情の変化も
かなり強烈に浮かび上がってきます。けれども全体として眺めると
スタティックな印象が残るのセルらしいところです。(つづく)
303ブラ4日記:2001/08/22(水) 21:55
(補足)
こうしたアプローチだと、下手をすればとりとめもなくなりそうな
第3番ならうまく行くのでしょうが、ここでは(あと2番も、1番も)
それが裏目に出た感じがします。ハイドンの主題による変奏曲とか
協奏曲の伴奏では、ほんとうに素晴らしい演奏に残しているのに・・・・。
それと、第1楽章の120小節目のところ、トランペットが
フライングしていて、この奏者、あとでどれだけ絞られたかと思うと、
気が気でなくて、なかなか落ち着いて聞いていられないです(笑)。
これもあんまり人には薦められない演奏ですが、私のようなセル好き
にはたまらない演奏です。それと、セルはライブでは時に大爆発する
タイプなので、50年代のザルツブルクのライブ(VPO)やクリーブ
ランドとの演奏が出てきたら、そのほうが案外一般向けになるかも
知れません。
304名無しの笛の踊り:2001/08/22(水) 23:37
セルのブラ4は確かに変