□ マタイ受難曲 □

このエントリーをはてなブックマークに追加
281名無しの笛の踊り
以前のレスで誰かがヘレヴェッヘのマタイは聖句重視、自由詩軽視だと書いていたが、
その言葉は鈴木盤にこそよくあてはまる。
演奏の出来も、聖句 > コラール > アリア。

聖句部分は本当に素晴らしい。
通奏低音(特に鈴木秀美のチェロ)は、私が今までに聴いた全ての録音を通して最
高だし、テュルクとコーイのコンビネーションも良好でまず文句の付けようがない。

コラールは意識的に抑えた表現で、この解釈は、やや湿り気を帯びて切れを欠き、
音色のパレットがそれほど豊かではないこの合唱団の特質ともよく合致し、それな
りに成功している。

問題はアリア。
浦野氏の名が出ていたが、バスだけでなくソプラノも出来はあまりよろしくない。
このCDでのアジェンタには声も表情もどちらも欠けている。
パーションか野々下に歌って欲しかった。
C/Tのブレイズは、よく歌ってはいるが、声質が軽すぎて、深い悔い改めの表現
が要求されるマタイのアルトには向いていない、と言い切ってしまうと論議を呼び
そうだが、少なくともマタイのテクストの表現として非常に特殊であることは確か。
さらに発音も完璧ではない。
このスレでは評判がよくないがレオンハルト盤のヤコプスには深い感情の表出がある。
彼と比較するとブレイズはきれい事で終わってしまっている。