メロディーの影・・ ジムノペディーに隠された・・

このエントリーをはてなブックマークに追加
97名無しの笛の踊り
売れないサティは餓えた妻子を尻目に、毎日のようにサロンに通いつめては
政治や芸術論議に没頭していた。
人とは違う物の見方をするユニークで個性的なサティは気前もよく、借金だらけ
なのに酔うと人の飲み代までおごっていた。だからサロンに来る連中も本当に
サティを慕っているというよりは、電波を藁う2ちゃんねらーに似ていたと言う方が
正解かもしれない。

その晩も明け方近くまで痛飲したサティが上機嫌でアパルトマンに戻ると...
誰もいないではないか!妻もふたりの子供もいない!

慌てたサティが家の中を探し回ると...テーブルの上には妻の手作りの料理と
手紙が乗っていた。

「あなた、今日まで一緒に歩いてくれて有難う。もし私がひとときだけでもあなたの
疲れを癒す役に立っていたとしたら、こんなに嬉しいことは有りません。ずっとあなたの
背中を見つめていたかったけど、私はもう疲れ果ててしまいました。あなたが最も
大事にしている子供を連れて行く事だけは許してね。
あまりお酒を飲みすぎないで、体を大切にしてね。
私の最後のお料理を作っておきました。明日の朝目が覚めたらスープだけ温め直して
食べて下さい。
そうそう、頼まれてたジムノペディの清書はピアノの譜面台の上に置いています。
では元気でね、私の愛しい人」