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名無しの笛の踊り:
サティの死後に出版された日記(1927年ガリマール叢書)によると
ジムノペディにまつわるエピソードは次のようなものだよ。
スランプに陥っていたサティは、苦し紛れに他人の作品を
パクってしまったんだ。
シューマンのトロイメライの第13〜16小節の反行逆行型が
ジムノペディの出だしの部分だよ。
サティはこれをするときに2枚の鏡を使った。
トロイメライの楽譜の向こう側に鏡を立てて、もう1枚を
右側に立てて反行逆行型を求めようとした。
その時うっかりして2枚の鏡を平行に置いてしまったんだね。
たまたま13日の金曜日の真夜中だったものだから、合わせ鏡から
悪魔が飛び出した。
悪魔はけたたましい笑い声を上げながら踊ったり飛び回ったり
したあと、サティに呪いの言葉を浴びせてスカルボのように
消えてしまった。
それきりどこに行ったかわからない。
呪われたサティのその後は惨憺たるものだった。
作った曲は不評続き、財布は落とすわ、入れ歯はなくすわで
いいことは少しもなかったそうな。