ヴァント

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187ヴァント指揮の交響曲第4番
先日,NHK教育TVにて,1970年代の録画ですが,ヴァント指揮NHKso.による「ブルックナー:交響曲第4番」の実況が放映されたので観ました。残念ながら,放送時間の関係で第2楽章が省略の上,指揮者の名前が,録画当時の表記では「ヴァント」ではなく「ワント」というものでしたが,あのヴァントです。まあ,当時のヴァントは現在とは異なり,日本においてはニ流か三流の指揮者だったと思いますので,ほとんど注目を浴びていなかったと思いますので(その頃に日本で人気があったブルックナー指揮者はカラヤンとベームだったと思います),録画が残っていること自体軌跡的に思える程ですが,ここら辺はさすがに有料放送局というべきでしょう。

さて,肝心な演奏ですが,期待に違わず,凡演でした。まあ,第2楽章が省略されていたので確定的なことはいえないことは確かですが,それでも,大分前にやはり放映されたベルリンpo. との第9交響曲の録画の記憶と重ね合わせても,ヴァントってやはりニ流の指揮者だなあと思っています。氏がなぜ現在の日本で人気があるかは,結局のところ,クラシック音楽が好きな人は「敬老精神」が旺盛で,「老指揮者」が好きだと思っています。これは晩年のベームに対する異常なまでの人気(その死後の人気の凋落),あるいは日本指揮者での人気を考えてみればわかると思います。

口なおしに,宇野功芳氏の指揮による第4交響曲の第1楽章(CD)とマタチッチによる第8交響曲(LD)を聴きました。やはり,ヴァントと格が違います。宇野氏による演奏のデフォルメの素晴らしさ,そして,マタチッチによる豪放さはやはり一級品だと思います。