悲愴

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51推理。
>>48
チャイコフスキーはバスクラをあそこでやはり使いたいと考えていたのかもしれない。
(バレエ音楽ではイングリッシュホルンやバスクラを使用しているから、
特殊楽器への抵抗は薄いはず)

ただ、『悲愴』は2管編成を前提として書いてきた。
そうすると第1楽章展開部直前の普通のクラリネットでは出せない低音域の4つの音は、
どうしてもファゴットに担当させざるをえない。
(管楽器でこの低音域を出せるのがファゴットしかないので)
むろん、ここでバスクラを使えば音色的にも消えゆく弱音の効果としても
効果としては文句ない。
(クラリネットは無音にまで消えゆく弱音の出せる楽器!ダブルリード楽器はこうした弱音は苦手)
しかしそうするとこの曲中でバスクラの出番はこの4つの音のみになってしまう。
こういう特殊楽器の使用法は彼としても悩んだのだろう。
(出番が少ないことで有名な新世界交響曲のテューバ(音符14個)よりも少ないことになる)

悩んだ彼は結局、スコア上にはファゴットに吹かるように書き
バスクラは用いなかったのだろう。
ただ、「ここはバスクラを用いた方がいいよ…」という示唆というかニュアンスを
ppppppで伝えたのではないだろうか。

(もし彼の急死がなかったらその辺について変更や指示の追加があったのかもしれないが、
そうしたことができずに彼は逝ってしまった。)