ブルックナーの交響曲

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394名無しの笛の踊り
今をときめくクラヲタチャンプmatsumo氏の名文をどうぞ。

ヴァントの来日公演放送の感想

2001. 1.14(日)、NHK-TVにて、「ヴァント指揮北ドイツO.」の日本公演の実況録画が放映されたので、聴きました。放送されたのは以下です。
(1)シューベルト:交響曲第8番 (2)ブルックナー:交響曲第9番
それにしても、1、2年程前にベルリンpo. との同じプログラムでの放送がありましたが、もう、歳のために同じ曲しか指揮しなくなったのでしょうか。もっとも、いずれも未完の曲ということは、何かメッセージ的な意味があるのかもしれませんが。聴いて、まず、思ったことは、コンサート会場にいた人達にとっては感動的なものだったのだろうということです。これは有名な曲で終わりも知っている人達が大部分であろうと推測されるにもかかわらず、両曲とも終わってから拍手が起こるまでに10秒弱もあったことからそう考えられます。多分、これは高い入場料とやっとキップを入手できたこと、また、この指揮者が老齢のために、今後来日して演奏することはほとんど考えられないこと等のために、コンサート会場は期待と緊張に満ちており、異様な雰囲気であったろうと考えられ、会場にいた人達には心奪われる名演だったに違いないと思われるからです。すなわち、名演とは技術ではなく、雰囲気から生まれるものですから。一方、これが私みたいにTVの前で聴いていると、遥かに冷静ですので、余程の名演でないと名演とは思いません。というか、逆に欠点がクローズアップされでしまいます。ということで、TV放送は初日ではなく3日目の録画だそうですが、オーケストラの欠点と指揮者の疲れが見られたように思えます。こういう背景もあるということで、聴いた感想を述べさせていただきます。
(1)の第1楽章は低音が強調され過ぎたもので、いかにドイツ的といっても行きすぎだと思いました。一方、第2楽章は興が乗ったのか、素晴らしいできでした。第1楽章もこれ位に熱がこもっていれば、名演になったのですが、まあ、第2楽章だけでも良かったことは感謝すべきでしょう。