■■■フルトヴェングラー 22■■■

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275神の声
そろそろこの演奏の神格化は考えた方が良い。
第一楽章のテンポは断じてベートーベンが想定したものではないし、
第三楽章も遅すぎ。音については時代を考えれば十分であり、
些細な向上が毎回製作者の金づるになっているだけ。
上級者向けにはぜひ備えたい演奏だが、初心者に勧められる演奏ではない。
ベートーベンの第九を元にしたフルトヴェングラーによる自由なファンタジー
であり、興行としてのお祭り、祭典として歴史の証言である。
こういう表現もありだし、これはこれで素晴らしい名演である。
第九をここまで想像力により、原曲を改編し、聴き栄えのある形に仕上げた
フルトヴェングラーの力量は大したものである。
しかしベートーベンの設定はもっとテンポが速いのである。
勿論作曲者の意図だけが唯一ではないことも事実である。
フルトヴェングラーがベートーベンを上回る天才と信じる方には、
このバイロイトが唯一最高の演奏となろう。その気持ちも解らぬではない。
ベートーベンの残された楽譜を忠実に再現するだけという制約を
課していては、フルトヴェングラーの時代の指揮者では不可能だった
早いテンポによるベートーベンの感動的な再現が その後記録された。
その指揮者は フルトヴェングラーがいずれは自分を抜いていく才能と看破し
、抜かれる前に潰してやろうと嫉妬心を燃やし、徹底的に活動を妨害した
ヘルベルト・フォン・カラヤンである。

カラヤンの記録では1968年のDVDにより 最高の結実を見ることができる。
そしてカラヤンは見事にフルトヴェングラーを抜き去ったのはご存知の通りである