モーツァルトやハイドンの名前を有名にした真の立役者は
彼ら自身の実力ではなく、19世紀の間に不動の地位を築いたドイツ楽壇の政治力。
ベートーヴェン、メンデルスゾーン達の登場で、器楽における欧州最高峰
の地位を築き、バッハの復興と神格化で宗教曲でも絶大な影響力を持った。
更にワーグナーの登場によりオペラでもイタリアを駆逐し
文化先進国フランスや本場イタリアにまで影響力を持つに至る。
こうしてドイツ人による音楽界の支配確立が完了する。
ドイツ音楽界の地位向上に伴って、過去のドイツ人(ドイツ系)作曲家の
地位向上が後付けで行われる。弱小勢力から成り上がった徳川家が
将軍就任に伴い、先祖を貴種と偽り権威づけた手法と同様。
史実では、古典派までの時代はイタリア人の天下。
モーツァルトもハイドンも、全ヨーロッパ的な存在でなかったことは、
オタならよく知っているはず
(オペラ無しのハイドンのロンドン興行など、音楽界全体から見れば
たかが知れていることも)。
モーツァルトの地位向上も
バッハ、ベートーヴェン、ワーグナーという全欧州的な「神」級の
突出した大物の業績に多くを負っているというわけだ。
W杯でスーパースターを出した国の選手は、実質2流以下でも
他国で特別待遇されるのと似ている。