この日の演奏は,やはり,岩城さんが車椅子に座ったまま指揮されたことが
いろいろな面で演奏に反映していたと思います。岩城さんがステージに出入り
するたびにステージマネージャーの方の手助けを受けていましたが,やはり,
そういう姿は,団員にいろいろな感慨を与えると思います。
朝比奈隆さんなどは「指揮者は指揮台に立つのが仕事」と言っていましたが,
団員と同じ視線で座って指揮をするというのは,プライドが許さないという
指揮者もいると思います。私は,そこまで指揮にこだわる岩城さんの生き方に
”究極の人間らしさ”のようなものを感じました。
今回,岩城さんが車椅子に座ったままで指揮をされたことは,やはり,
岩城さんだから許されたことなのではないかと思います。半日以上かけて,
ベートーヴェンの交響曲を”立って”指揮された岩城さんですが,
そのドキュメント番組の中で「現在,唯一無意識にできることが指揮をする
ことである」と語られていたのが大変印象的でした。今回,岩城さんは
「立つこと」も奪われてしまったわけですが,逆に言うと「立つこと」に
意識を集中する必要がなくなったとも言えます。形にこだわらず,”指揮のみ
”にかける岩城さんの執念というものが今回の演奏に反映していたと思います。
http://oekfan.web.infoseek.co.jp/ こいつにとって岩城は神なのか・・・・