【かなり】ピアノ曲、ピアノ協奏曲総合【マイナー】

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355名無しの笛の踊り
ビゼーはリストのように、なにか作品を聞くと、すぐそれを繰り返して弾く能力を持っていた。
彼はいちどリストの面前でこれをやったことがある。
リストはアレヴィを含んだ何人かの音楽家たちに自作を弾いたことがあった。
弾き終わるとリストは、この曲を弾けるのはヨーロッパにふたり、
つまりフォン・ビューローと自分しかいないといった。
アレヴィがビゼーをうながしてピアノに坐らせると、
この若者は、そのいちばんむずかしい部分を繰り返したのである。
そこでいささかびっくりしたリストがその手稿を取り出すと、
ビゼーは生き生きと正確かつ迅速に初見で弾いた。
そのときリストは立ち上がって陳謝したのである。
「三人いることになりました。しかも公正を期すれば、
いちばん若いひとりが最も俊敏で多才であるというべきでしょう」

ショーンバーグ「ピアノ音楽の巨匠たち」より