カール・リヒターを語る!

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169名無しの笛の踊り
>>168さん
本当に『誰にも真似のできない入魂の演奏』『今でも新鮮な感動があります』です
ね。録音された演奏もすばらしいものですが、実演から受けた感動はそれをはるか
に上回るものでした。「マタイ受難曲」「ロ短調ミサ曲」の演奏会場が『聖なる空間』
と化し、ステージ上から燃える炎のようなものが立ち登る感じがしました。
ヘフリガーをはじめとするソリストたちは、自分の歌わない時もリヒターの指揮姿
に魅入っていました。
あのような生命力に溢れたバッハの演奏に接したのは、後にも先にもありません。
ミュンヘンバッハ合唱団も、1969年来日時は20歳代から30歳代の人が大半で、リヒ
ターの指揮の一挙手一投足に見事に反応し、その訓練された澄み切った歌声には心
が洗われるような印象を持ちました。
その当時の演奏会評が掲載されたものや、リヒターについて書かれたものは全てと
言っていいほど手に入れ、今もすぐ出せる所に大切に保管しています。
演奏会前に、合唱団員たちが東京文化会館の周辺を散策していたので、その一人に
「私はバッハの曲を歌う合唱団に入っている。是非リヒターのサインがほしい」(英語
で)と言ったら、楽屋のリヒターの部屋の前に連れて行ってくれ、待っているとパイ
プをくわえたリヒターがやって来ました。合唱団員は、それまでのリラックスした態
度が豹変し、緊張した面もちで私がサインを望んでいる事を話してくれました。リヒ
ターはパイプをくわえたまま、私の顔をじろっと見て、差し出したリヒターの写真に
サインをくれ、握手もしてくれました。今となっては良き思い出の一幕です。