【鰤】ブリテン【典】

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288名無しの笛の踊り
op.21は>269の通り、実質「左手のためのピアノ協奏曲」だが、
形式は鰤得意の「主題と変奏」になっている。

ディヴァージョンズ(Diversions on a theme for piano [left hand] and Orchestra)Op.21[p,Orch]
(1940/1954改訂/初演1942.1.16フィラデルフィア ヴィトゲンシュタイン(p)オーマンディ指揮フィラ管)
1.主題(Theme)
2.第1変奏 レシタティーヴォ(var.1 Recitative)
3.第2変奏 ロマンス(var.2 Romance)
4.第3変奏 行進曲(var.3 March)
5.第4変奏 アラベスク(var.4 Arabesque)
6.第5変奏 聖歌(var.5 Chant)
7.第6変奏 夜想曲(var.6 Nocturne)
8.第7変奏 戯れ(var.7 Badinerie)
9.第8変奏 ブルレスケ(var.8 Burlesque)
10.第9変奏 トッカータ1(var.9 ToccataI)
11.第10変奏 トッカータ2(var.10 ToccataII)
12.第11変奏 アダージョ(var.11 Adagio)
13.第12変奏 フィナーレ〜タランテラ(var.12 Finale Tarantella)

「左手」ではおなじみのヴィトゲンシュタイン委嘱ものなんだが、
このひと、何でもちょっと気難しい人だったらしく、
あの名作をくれたラヴェルとも喧嘩してしまったらしい。
プロコに至っては作品の演奏を拒絶してしまっているし、
このひとのためにかなり尽くしたと思われるフランツ・シュミットの多数の作品については、
本人亡き後未亡人に「両手用に書き換えたらどうだ」みたいなことを言ったらしい。
289名無しの笛の踊り:2006/01/03(火) 18:01:36 ID:iH2UglLK
というわけで我らが鰤の作品も、オーケストレーションに難癖を付けられながらも無事できたわけだが、
鰤自身の録音はヴィトゲンシュタインの演奏権が切れる1954年に行われていて、
改訂はこのときに行われたんだろうし、フルスコアが出版されたのがなんと1988年だというから、
どうもヴィトゲンシュタイン絡みというのはいろいろとオトナの事情がありそうだ!
曲そのものは華麗な冒頭からスケール感もあって聴き映えもあると思うのだが、
中盤がややおとなしく(美しいが)、分かりやすいメロディがないのが損をしているのかもしらん!
とはいえ俺的には、「夜想曲」や「ブルレスケ」「アダージョ」あたりはかなりツボなんだが...
ちなみに左手ピアノ作品はここを見ればかなり詳しいぞ!
ttp://sound.jp/ludwig/PW/PW_etc_recordings.html

Julius Katchen, London Symphony Orchestra, Benjamin Britten - DECCA - 421 855-2
Peter Donohoe, City of Birmingham Symphony Orchestra, Simon Rattle - EMI - CDC7 47343-2
Leon Fleisher, Baltimore Symphony Orchestra, Sergiu Comissiona - Phoenix USA - PHCD122
Leon Fleisher, Boston Symphony Orchestra, Seiji Ozawa - SONY Classical - SK47188
290名無しの笛の踊り:2006/01/03(火) 18:23:31 ID:/dlIQFYY
ラヴェル:左手のためのピアノ協奏曲
 このジャンルで最も有名かつ成功した作品。ヴィトゲンシュタインは勝手に改変して弾いていたため
 ラヴェルを怒らせ、ラヴェルはこの作品をファヴリエに託した。その演奏を聴いて、ヴィトゲンシュタインも
 考えを改めたという。

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第4番(左手のための)
 ヴィトゲンシュタインが「一音符も理解できません」と突き返した作品。実は難しすぎて弾けなかったから
 ではないかと憶測されている。プロコフィエフは両手用に改作も考えていたようだが実現はしなかった。
 作曲者の死後、第二次大戦で右手を失ったドイツのピアニスト、ラップによって初演された。
 一般にプロコフィエフの協奏曲の中では評価が低く、失敗作との見方もあるが、近年は再評価の動きもある。

コルンゴルト:ピアノ協奏曲(左手のための)
 ヴィトゲンシュタインが最も気に入っていたらしい作品。しかし、コルンゴルトの存在が軽視、あるいは
 忘れ去られるのに伴って、この作品も埋もれていった。コルンゴルトは他に、「2つのヴァイオリン、チェロと
 左手ピアノのための組曲」も作曲している。一方、通常のピアノ協奏曲は残していないようだ。
291名無しの笛の踊り:2006/01/03(火) 18:49:21 ID:/dlIQFYY
R.シュトラウス:「家庭交響曲余録(パレルゴン)」、「パンアテネの行列(大祭)」
 前者は家庭交響曲のモティーフを用いて作曲された。どちらも分厚いオーケストレーション
 がなされている。そのためヴィトゲンシュタインが、オーケストラが厚すぎるがシュトラウスに
 オーケストレーションのことで文句は言えない、 と愚痴っていたとか。

ヒンデミット:左手のための管弦楽付きピアノ音楽
 ヴィトゲンシュタインの気に入らなかったため演奏されないままお蔵入りし、楽譜が紛失したとさえ
 思われていた不遇の作品。しかし2002年にアメリカの旧ヴィトゲンシュタイン未亡人宅の遺品の中
 から楽譜が発見され、2004年にベルリンでフライシャーのピアノ、ラトル指揮、ベルリン・フィルによって
 初演された。フライシャーはピアニストとしてデビュー後に右手の自由を失い、左手ピアニストとして
 活躍していたが、最近になって右手の機能も回復した。
292名無しの笛の踊り:2006/01/03(火) 19:21:47 ID:/dlIQFYY
バックス:左手ピアノと管弦楽のためのコンチェルタンテ
 これはヴィトゲンシュタインではなく、ハリエット・コーエンのために作曲された。コーエンは
 バックスの公然の愛人だったが、右手を失ったわけではなく、一時故障していた。
293名無しの笛の踊り:2006/01/03(火) 21:28:46 ID:KM3pwH2u
実家に帰省している間に書き込みが多いこと!しかもためになる。

フライシャーについて調べていたらこんなのが見つかった。

http://d.hatena.ne.jp/fugetzu/20050814

これによるとフォーレもヴィトゲンシュタインのために書いているようだ。
ヒンデミットも好きな作曲家なので聴いてみたいものだ。

ディヴァージョンズのCDはどれも面白いが,やはり小澤/フライシャー盤は
他の左手のための協奏曲を録音しているので興味深い。少々トピずれになるが
プロコフィエフの第4番の面白さはいまだにわからない。1〜3番はいずれも名曲だと
思うのだが。先日舘野泉氏/日フィルの演奏を聴いたが,演奏の出来の問題も
あってさらに面白くなかった(ちょっと痛々しかった)。が,ともかく脳梗塞から
復帰して演奏している努力は評価する。次回はディヴァージョンズを演奏してもらいたい。

私の聴いた実演はフライシャー/新日フィル。10年近く前のもの。指揮者は忘れた(手塚氏?)
[正確なデータを知っている人よろ]。当然フライシャーが左手で演奏している頃で,
毎年1曲ずつ左手のための協奏曲を演奏していたと思う。
そういえば両手が使えるようになってからは新日フィルには来日していないような・・・。
294名無しの笛の踊り:2006/01/03(火) 22:30:10 ID:OKGArT/v
フォーレは1924年に没している。最晩年に依頼に応じたということも考えられなくはないが、
だとしても別の作品ではないか? 件の幻想曲ト長調op.111は1918年の作品だ。
295名無しの笛の踊り:2006/01/03(火) 22:58:46 ID:OKGArT/v
>>289で紹介いただいたサイトからその他の協奏作品を拾ってみると

【ヴィトゲンシュタイン委嘱作品】
フランツ・シュミット:ベートーヴェンの主題による協奏的変奏曲、ピアノ協奏曲
ボルトキェヴィチ:ピアノ協奏曲第2番、ロシア狂詩曲

【それ以外】
ヤナーチェク:カプリッチョ(室内楽に近い編成だが)
マルチヌー:左手ピアノと小管弦楽のためのディヴェルティメント
ノヴカ:左手のためのピアノ協奏曲
ローレム:左手のためのピアノ協奏曲