【鰤】ブリテン【典】

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249名無しの笛の踊り
鰤好きなみなさんはもちろん聖夜はop.28でしっとり過ごされたことだろう。
ホントはクリスマス近くにop.28まで行ければ良かったんだが、
物事そうはなかなかうまく運ばないってことだ!
というわけでop.20も鰤の勘違いでできてしまったような曲なんだが、
これがいまや鰤全作品中でも屈指の名曲となっているのが、
世の中なかなかうまくいかないってことの面白いところなんじゃなかろうか?

シンフォニア・ダ・レクィエム(Sinfonia da requiem)Op.20[Orch][3楽章]
(1940/初演1941.3.30ニューヨーク、カーネギーホール バルビローリ指揮NYP)
1.涙の日(Lacrymosa) - Andante Ben Misurato
2.怒りの日(Dies Irae) - Allegro Con Fuoco-Alla Marcia-Avanti
3.永遠の安息を(Requiem Aeternam) - Andante Molto Tranquillo

西暦1940年(昭和15年)は初代天皇とされる神武天皇の即位より2600年目、
これを「紀元2600年」として当時の日本国政府はお祝いを計画した。
そこで海外の4人の作曲家に奉祝の為の作品が委嘱されたのだが、
4人とはR.シュトラウス、イベール、我らが鰤、あとひとりはわからん。
鰤は亡き初代天皇を偲ぶ鎮魂の音楽を委嘱されたと誤解してop.20を書いたのだが、
日本政府はめでたい場にレクイエムとは何ごとかということで、
結局祝典では演奏されなかった....
250名無しの笛の踊り:2005/12/30(金) 18:23:11 ID:7v7lelUB
ところがこれが皆さんご存知の通りop.20はかなりの傑作で、
1曲め「涙の日」からタコ戦争ものみたいな迫力の音楽がうりうり迫ってくるぞ!
また「怒りの日」の表現は、後のop.66にはみられない苛烈さだ!

New Philharmonia Orchestra, Benjamin Britten - DECCA - 425 100-2
BBC SymphonyOrchestra, Mark Elder - BBC Legends - 1001
Halle´ Orchestra, John Barbirolli - BBC Legends - 4013
Halle´ Orchestra, John Barbirolli - BBC Legends - 4401
Staatsskapel Dresden, Rudolf Kempe - Berlin Classics - BC 1097-2
Royal Philharmonic Orchestra, Leonard Slatkin - BMG/RCA Victor - 61226
London Symphony Orchestra, Richard Hickox - Chandos - CHAN8983/4
London Symphony Orchestra, Steuart Bedford - Naxos - 8.557196
City of Birmingham Symphony Orchestra, Simon Rattle - EMI - CDC7 47343-2
London Symphony Orchestra, Andre Previn - EMI - CZS5 72658-2
BBC Northern Symphony - IMP Classics - 9129
New Zealand Symphony Orchestra, Myer Fredman - Naxos - 8.553107
New York Philharmonic, John Barbirolli - NMC - NMCD030
Berlin Philharmonic Orchestra, Sergiu Celibidache - TAHRA - TAH273
Royal Liverpool Philharmonic Orchestra, Libor Pesek - Virgin Classics - VC 7 90834-2 (Virgin 61195)
251名無しの笛の踊り:2005/12/30(金) 18:29:11 ID:7lpyhQQd
>>249
次の5ヶ国・5人
リヒャルト・シュトラウス(ドイツ) 日本建国2600年祝典曲op.84
イルデブランド・ピツェッティ(イタリア) 交響曲イ調
ジャック・イベール(フランス) 祝典序曲
シャーンドル・ヴェレッシュ(ハンガリー) 交響曲(第1番)
ベンジャミン・ブリテン(イギリス) シンフォニア・ダ・レクイエムop.20
252名無しの笛の踊り:2005/12/30(金) 18:42:28 ID:WZn9+FfA
世代的には大御所クラスのR.シュトラウス、ピツェッティ、
ベテランのイベール(当時ローマのフランス学士院(ヴィラ・メディシス)の院長を務めていた)
に対して新進のヴェレッシュ、ブリテンといったところか。
各国と日本との関係が何となく反映しているようだ。
ちなみにアメリカの作曲家にも委嘱が打診されたが、
日米関係の悪化もあって委嘱そのものが成立しなかった。
253名無しの笛の踊り:2005/12/30(金) 18:58:13 ID:WZn9+FfA
一番なじみのないヴェレッシュ(1907-1992)について。
リスト音楽院でコダーイに作曲を、バルトークにピアノを学んだ。
民族音楽研究所でバルトークの助手も務めている。
1949年にスイスに亡命、ベルン音楽院で作曲と音楽理論を教えるようになった。
ハインツ・ホリガーの師として知られる。スイス国籍を取得した翌年にベルンで没した。
254名無しの笛の踊り:2005/12/30(金) 20:27:22 ID:hKage7DV
CD1枚持っているだけだけど、今となるとベレシュの音楽も結構
面白くと思うけどね。
255名無しの笛の踊り:2005/12/30(金) 21:01:11 ID:LmVaiGF9
俺も彼の音楽はあんま聞いたわけじゃないけど、かなり素晴らしい部類に入ると思う。だけど知名度はイマイチなんだよなぁ…。
スレ違いスマソ
256名無しの笛の踊り:2005/12/30(金) 21:24:12 ID:qErLZ7s3
>>253 他

おおー,年末にまとまって来たな〜。ブリテン以外の曲は聴いたことがない。
(どこかでRシュトラウスかイベールのは演奏されているような気もするが)。

このスレほど鰤好きが集まって話題を提供し合っていて,ためになるスレはないなー。
アーカイブに入る前にコピペして取っておきたいものだ。

CDも結構出ているな。例によって主なものは持っていると思うが,チェリビダッケが
出しているとは知らなかった。持っているうちでどれが一番良いとは言えないが,
ラトル&CBSO盤は出た当時は新鮮だった。カップリングされている曲も
珍しいものだったし。ラトルの名前を知ったのもそのころ。

実演を最初に聴いたのもラトル&CBSO。何年かは例によって忘れたが(86,87年?)
東京文化会館のホール中に冒頭のティンパニが響き渡ったのをよく覚えている。
これは確かTVでも放映されたように思うが・・・(違うか?)

その後聴く機会があったのは一度で,外山雄三指揮都響(印象は特になし)。
ブリテンの曲の中では比較的演奏される機会の多い曲じゃないかと思う。
257名無しの笛の踊り:2005/12/30(金) 22:06:58 ID:XbtJ6SJY
イベール作品のCDはマルティノンと佐渡裕のものがある。
ああいう曲だから、吹奏楽編曲でも演奏されているようだ。
258名無しの笛の踊り:2005/12/30(金) 23:05:28 ID:qErLZ7s3
>>257

ひょっとして佐渡のナクソスレーベルのCD? それなら持っているので探して
聴いてみる。

256自己レス

なぜラトルのCDが印象に残っているのかがわかった。私にとってそのころは
LPからCDへの過渡期で,初めに買った何枚かのCDのうちの1枚がそれだった。
それまでのSN比の良くないLPの音(私のコンポでは)とは違った印象が
あったということもある。その勢いでラトルの戦争レクイエムも買ったが,
国内盤で7,600円だった。今では4,000円??トホホ。

まあそれを言ったらそれまでに集めたLPではピーターグライムズは4枚組
だったから確か10,000円。少年時のこづかいではとんでもなく高いものだった。
だからなかなか買えなかった(LPがあまり出てなかったこともあるが・・・)
今では最新録音が1,000円以下で買える。夢のようだ。

まだブリテンが生きていたころの話(あ,ピーターグライムズを買った頃は
亡くなってたかも)。
259名無しの笛の踊り:2005/12/31(土) 03:50:35 ID:8rlvD6If
おお、進んだ〜
では鰤パパに続いてMummie Darlingを…
  
お名前:Edith Rhoda Britten。結婚前はHockey。
   
ママはとっても、きれい…結婚前の写真で素敵なのがあるよ。
どっかに画像ないかな〜Libraryあたりどうかな?
鰤も「こんなにかわいい女の子があらわれたら恋せずにいられないだろう。」って言ってる…
   
…って、お前さん、ゲイでしょうが?
まぁ、PPの考察によると「母親とのつながりが強いあまりにゲイを選ぶ」んだそうだけど。
私はゲイじゃないので、それがあたってんのかわからんし、なんか言う資格もないんですが、
PPも、それからオーデンも母親と強く結ばれてたのは本当のこと。
260259:2005/12/31(土) 04:05:57 ID:8rlvD6If
鰤もママとは、骨がらみみたいにくっついてた。
鰤ママは37年に死んじゃうんだけど、昏睡状態におちいった時、
「僕が息子じゃなくて、まるで恋人みたいに話した」って鰤は言ってる。
それから、その一ヶ月後に会ったPPの声がママにそっくりなのは、よく知られるところ。
   
PPの声について鰤が自分で意識してたかどうかは、わからん。
似てるって言ってんのはお姉さんと幼馴染みで鰤自身はなんにも言ってないから。
  
でも鰤は、その幼馴染みと昔話してて
「ママのことはよく覚えてない」って言ったそうな。
単に話したくなかっただけかも知らんが、
ホントだったらママはPPに完全に変換されたってことだよね。
   
精神分析するつもりはないので、この辺でやめとくけど
鰤ママには感謝。
鰤が、いまあるような鰤なのはママのおかげだもん。
261名無しの笛の踊り:2005/12/31(土) 05:37:26 ID:ZDGMK3u1
教えてちゃんでスマヌが、鰤が、めでたいお祝いにレクイエムなんかを送ってきたのは、
単純な誤解?それとも確信犯?
あと、ちよっと前に楽譜が発見されてなかった?新聞種にもなってたような気がする。
       
それにしても日本政府も、なかなか文化的じゃん?
(軍国主義真っ最中なのは別だよ。)
今ならこんな洒落たこと、しないだろうし、できないだろうな〜

262名無しの笛の踊り:2005/12/31(土) 05:40:27 ID:ZDGMK3u1
第三楽章の最初のとこ、「火の鳥」みたい…
263名無しの笛の踊り:2005/12/31(土) 07:13:32 ID:ZDGMK3u1
こんなん、見つけました。
     
「海道東征」信時潔(1940)
   
信道潔は「海行かば」の作曲者として有名な人。(1887〜1965)
ドイツ留学もした彼が紀元2600年に、いわば日本代表として選ばれて書いたのが
北原白秋の詩による「海道東征」なんだそうな。
   
上の5人に付け足しておいてください。


264263:2005/12/31(土) 07:29:10 ID:ZDGMK3u1
はやまっちゃった…
信時の作品は、同時には演奏されなかったようですね…
265名無しの笛の踊り:2005/12/31(土) 10:43:49 ID:Y6Rc5JV/
>>261
反骨とかじゃなくて、勘違いだったらしい。
後に、作品が受け付けられなかったのは幸運だった、というようなことを語っている。

>>263-264
日本人作曲家の作品は数多くあり、信時潔のものはその1つに過ぎません。
スレ違いになるからここには挙げませんが。
266名無しの笛の踊り:2005/12/31(土) 13:57:36 ID:8rlvD6If
>265
ちょ、ちょっと待って!
もっと詳しく教えて?
  
たしか、お姉さんへの手紙のなかで
「僕の戦争についての考えと、ママやパパへの追悼を結びつけた曲」って
書いてたよ?
あと、バークレーもなんか言ってたはず。
  
なんかじゃしょうがないね。
これから出かけるので夜になったら、また調べて書くね。
       
うろ覚えで書いちゃいかんと思いつつ鰤の名誉にかかわるんで、つい…
だって、単なる誤解じゃ、鰤もBritish Councilも大使も、あまりにおバカ…

267名無しの笛の踊り:2005/12/31(土) 14:11:08 ID:2c6lXc1N
>>265
ブリテン発言の出典はここかな?
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4276201357/qid=1136005728/sr=1-78/ref=sr_1_2_78/250-1619900-4347457

年が明けたら図書館へ行って、ブリテンの章を読み直してみよう。
268名無しの笛の踊り:2005/12/31(土) 14:52:24 ID:nWNThaVr
当時アメリカ在住のブリテンとイギリス本国経由で交渉していたら、
どこかで間違いが起こるのは無理もないような気がする。
269名無しの笛の踊り:2005/12/31(土) 15:53:07 ID:nWNThaVr
op.21は左手ピアノの協奏作品か。
ヴィトゲンシュタイン委嘱作品もそれ以外も含めて、どんな曲があるか洗い出しておこう。
ラヴェル、プロコフィエフ、コルンゴルト、R.シュトラウス、フランツ・シュミット、ヒンデミット、
バックス、ローレム、・・・・・・
270246:2005/12/31(土) 23:00:58 ID:NnFQy/8d
>>268さん、私は鰤が、そんな伝言ゲームでドジふむヤツと思いたくない…
  
>>265さんの言う「誤解」が249で言われている内容だとして書くね。
もし違う内容なら大誤爆〜許してね。
さて、ひょっとして元はこれかな?
John Morris " Traveller from Tokyo"。念のため原文も挙げとくね。
…he(鰤のことだよ)was asked to write something in memory of defunct Emperor,
and no hint was given that the occasion was a joyful one.
     
どうですか?私は「亡き天皇云々」を扱った文章はこれしか見つけられなかった。   

で、鰤は自分で”Radio Times"(46年1月)に投稿して誤りを正してるんだけど…
要約すると、自分は題材も手段も自由にまかされた。どんな愛国主義にも従えないし、
そうしたくもないということが条件だった。とあって演奏を拒絶されたのは
キリスト教色が濃すぎるから、と言われた、と説明してる。

「亡き天皇への追悼曲」というテーマが与えられたとかいう説はこの説明と矛盾してないか?
鰤のほうが嘘!と、おっしゃるなら元ネタ教えて?
Morrisがなんでこんなん書いたか私も知りたいもん。
  
でも私も「誤解」はあったと思うよ〜
鰤ほどこの依頼に向いてない作曲家もいなそうだから。

    



271270:2005/12/31(土) 23:03:24 ID:NnFQy/8d
何やってんだ。↑は266です…
272名無しの笛の踊り:2005/12/31(土) 23:16:16 ID:8L6w3fQu
まあ、ブリテンは依頼や本来の目的とはズレた作品を書くのが珍しくなかったから。
「グロリアーナ」とか、どの曲だったか忘れたけど、母親のために作曲したという歌曲集とか。
273270:2005/12/31(土) 23:56:14 ID:NnFQy/8d
だって”Our hunting Fathers"と”Ballad of Heroes"の鰤だよ。
おとなしくしてるわけ、ないじゃん。
   
時代を考えると鰤が作曲を依頼された39年9月は、第二次世界大戦が始まった月。(3日)
日本はといえば、すでに37年に日中戦争を始めている…
世界はきな臭いを通り越して、もうヤバいだろって状態。
  
それからオーデンにことも忘れちゃいけない。
オーデンは戦争中の中国を訪れているけど、左翼バリバリ時代の彼が
日本をどうとらえたかは推して知るべし、でしょ。
  
日本人には複雑だけど、鰤にとって当時日本に好意を持つ理由なんて
まるっきりなかったはず。
むしろマイナスポイントばかり…
   
ところがその日本からの依頼を鰤はためらわず引き受けてんだよ〜
274270:2006/01/01(日) 00:20:55 ID:9NxsRXlM
もう、この辺でなんかたくらんでんじやないか、と思っちゃうよ。
   
はたして266で書いたお姉さんへの手紙とか、
「平和の宣伝にあふれた曲を書いてるとこです。」とか
「亡き両親の追悼に」と言いながら、実際には、この機会に戦争をテーマにした曲を
(もちろん賛美じゃない!)ぶつけようとしてたことがわかる。
     
鰤は、その作風からか、晩年に爵位までもらった成り上がり具合からか、
人間も保守的と思われるようだけど、こうしてみるとかなりアクティブな人だと思う。
実際的な生活ってもんになんの役にもたたない芸術家って人種が、世の中に
どうコミットしていくのか、って考えてたんじゃないかな。
    
みなさま、こんなもんでどうでしょか。
鰤のおバカの汚名は、はれたでしょーか?
275名無しの笛の踊り:2006/01/01(日) 00:32:39 ID:EaUwPFzL
ブリテンはおバカではありません。
ブリテンの音楽に数学的崇高さを感じる。
変奏曲が得意なのは、そんな特徴からか。
こんなのは、他にはバッハぐらいだろ?
276名無しの笛の踊り:2006/01/01(日) 00:35:29 ID:TFA9OMSj
あけおめ、コトヨロでつ。
数学は崇高とは思わないのですが、それはともかく、福岡では
今年も鰤典の音楽を沢山聞けるようにと願いを込めてお雑煮には
鰤を入れます。あまり知られてないようですけど。
277270:2006/01/01(日) 00:39:50 ID:9NxsRXlM
オーデンについての補足。
鰤が日本の副領事に宛てた手紙は、オーデンが下書きした。
彼の指導があったことが推察できる。
    
266でちょっと触れたバークレーの件。
バークレーは40年4月の手紙で「彼ら(日本政府)が反戦争の作品を契約するなんて
皮肉なものだね。」と書いているよ。
   

278名無しの笛の踊り:2006/01/02(月) 10:53:27 ID:XwF+veea
明けましておめでとう!
初夢にちなんで鰤の変な夢…
    
”僕は友人と立っていた。
すると、この世の終わりを示す巨大なキノコ雲が見えた。
僕は友人を振り返って言った。
 「なんでマッシュルームが嫌いか、わかっただろ?」”
    
マッシュルーム嫌いなのか…
鰤はJ.ケージに会ったこと、あるかな?
279名無しの笛の踊り:2006/01/02(月) 21:28:30 ID:uWhtgv6P
>>278

そういや1913年生まれの同い年だよな
280名無しの笛の踊り:2006/01/02(月) 22:17:22 ID:yqM2Una/
パウル・ヴィトゲンシュタイン (1887 ウィーン 〜 1961 ニューヨーク)

オーストリアのピアニスト。実業家カール・ヴィトゲンシュタインの息子で、
2歳下の弟ルートヴィヒは有名な哲学者。ブレー、レシェティツキにピアノを師事し、
1913年にデビューを果たしたが、第一次大戦の勃発でキャリアは中断する。
召集されてポーランド戦線で負傷、ロシア軍の捕虜となる。この時の戦傷により右腕を失う。
終戦後、左手のみのピアニストとして活動し、様々な作品を左手だけのために編曲したり、
有名な作曲家に作品を依頼したりしてレパートリーとする。ユダヤ系であったため、
独墺合邦の際にアメリカへ亡命し、第二次大戦後にアメリカ市民権を取得。その後は
主にピアノ教育者として活動する。

ヴィトゲンシュタインが協奏作品を依頼した作曲家は
ラヴェル、プロコフィエフ、R.シュトラウス、コルンゴルト、フランツ・シュミット、ヒンデミットなど。
281名無しの笛の踊り:2006/01/02(月) 22:20:24 ID:XwF+veea
>>279
えっ、そうなの?
ちょっと、オドロキ。
いや、驚くこともないんだが。
   
282名無しの笛の踊り:2006/01/02(月) 22:29:28 ID:XwF+veea
ところでチェリの盤、聴いた方いる?
  
鰤の自演とバルビローリしか持ってないんで、この機会に録音の新しいのを購入したい、
と思ってるんすが。
チェリビダッケでなくても、みんな誰のを聴いてる?
おすすめあったら、どうぞ!
283名無しの笛の踊り:2006/01/02(月) 22:34:25 ID:QvbxTuv3
ジョン・ケージは1912年生まれでは?

1913年生まれの人物は
コンスタンティン・シルヴェストリ、ジョージ・ロイド、吉田秀和、
金田一春彦、森繁久弥、丹下健三、織田作之助、
ロバート・キャパ、ヴィヴィアン・リー、アルベール・カミュ、
ジェラルド・フォード、ヴェトナムの保大帝など。
284名無しの笛の踊り:2006/01/03(火) 01:10:54 ID:BHdZSbyx
弦楽四重奏第3番が好きだ。
285名無しの笛の踊り:2006/01/03(火) 10:17:17 ID:FmurZ5v0
ブリテンよりもディーリアスのほうが優れた作曲家だと思う。
286名無しの笛の踊り:2006/01/03(火) 14:54:46 ID:qPbbv3Z6
>>249>>265のソースはこれか?
  Cafe Intermezzo  2001年9月の書き込みでちょっと古いが。
「ブリテンに依頼した文書の英語が酷く意味がわからず」、
「仕方がないので神武天皇をしのぶレクイエムになった」…
   
これを書いた人も、もちろん調べて書いてるんだろうが(資料の記入なし)、
「英語が酷く」って、なぁ…
いくらなんでも国家の祝典に、んな事しないだろ。
ドイツ語やイタリア語の担当者は優秀で、英語だけ、ろくに手紙も書けなかったと?
    
日本の英語教育が批判されて久しいが、本当なら、まさに60年前から憂うべき
状態だった、て事だね。
287名無しの笛の踊り:2006/01/03(火) 15:22:48 ID:iH2UglLK
>286
ソースはこれです。しっかしこのスレ!強者揃いで頼りになるなあ。
ttp://shinkyo.com/concerts/i160-1.html
いまop.21聴いてるっす。そろそろ次行ってみまーす。
288名無しの笛の踊り:2006/01/03(火) 17:58:06 ID:iH2UglLK
op.21は>269の通り、実質「左手のためのピアノ協奏曲」だが、
形式は鰤得意の「主題と変奏」になっている。

ディヴァージョンズ(Diversions on a theme for piano [left hand] and Orchestra)Op.21[p,Orch]
(1940/1954改訂/初演1942.1.16フィラデルフィア ヴィトゲンシュタイン(p)オーマンディ指揮フィラ管)
1.主題(Theme)
2.第1変奏 レシタティーヴォ(var.1 Recitative)
3.第2変奏 ロマンス(var.2 Romance)
4.第3変奏 行進曲(var.3 March)
5.第4変奏 アラベスク(var.4 Arabesque)
6.第5変奏 聖歌(var.5 Chant)
7.第6変奏 夜想曲(var.6 Nocturne)
8.第7変奏 戯れ(var.7 Badinerie)
9.第8変奏 ブルレスケ(var.8 Burlesque)
10.第9変奏 トッカータ1(var.9 ToccataI)
11.第10変奏 トッカータ2(var.10 ToccataII)
12.第11変奏 アダージョ(var.11 Adagio)
13.第12変奏 フィナーレ〜タランテラ(var.12 Finale Tarantella)

「左手」ではおなじみのヴィトゲンシュタイン委嘱ものなんだが、
このひと、何でもちょっと気難しい人だったらしく、
あの名作をくれたラヴェルとも喧嘩してしまったらしい。
プロコに至っては作品の演奏を拒絶してしまっているし、
このひとのためにかなり尽くしたと思われるフランツ・シュミットの多数の作品については、
本人亡き後未亡人に「両手用に書き換えたらどうだ」みたいなことを言ったらしい。
289名無しの笛の踊り:2006/01/03(火) 18:01:36 ID:iH2UglLK
というわけで我らが鰤の作品も、オーケストレーションに難癖を付けられながらも無事できたわけだが、
鰤自身の録音はヴィトゲンシュタインの演奏権が切れる1954年に行われていて、
改訂はこのときに行われたんだろうし、フルスコアが出版されたのがなんと1988年だというから、
どうもヴィトゲンシュタイン絡みというのはいろいろとオトナの事情がありそうだ!
曲そのものは華麗な冒頭からスケール感もあって聴き映えもあると思うのだが、
中盤がややおとなしく(美しいが)、分かりやすいメロディがないのが損をしているのかもしらん!
とはいえ俺的には、「夜想曲」や「ブルレスケ」「アダージョ」あたりはかなりツボなんだが...
ちなみに左手ピアノ作品はここを見ればかなり詳しいぞ!
ttp://sound.jp/ludwig/PW/PW_etc_recordings.html

Julius Katchen, London Symphony Orchestra, Benjamin Britten - DECCA - 421 855-2
Peter Donohoe, City of Birmingham Symphony Orchestra, Simon Rattle - EMI - CDC7 47343-2
Leon Fleisher, Baltimore Symphony Orchestra, Sergiu Comissiona - Phoenix USA - PHCD122
Leon Fleisher, Boston Symphony Orchestra, Seiji Ozawa - SONY Classical - SK47188
290名無しの笛の踊り:2006/01/03(火) 18:23:31 ID:/dlIQFYY
ラヴェル:左手のためのピアノ協奏曲
 このジャンルで最も有名かつ成功した作品。ヴィトゲンシュタインは勝手に改変して弾いていたため
 ラヴェルを怒らせ、ラヴェルはこの作品をファヴリエに託した。その演奏を聴いて、ヴィトゲンシュタインも
 考えを改めたという。

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第4番(左手のための)
 ヴィトゲンシュタインが「一音符も理解できません」と突き返した作品。実は難しすぎて弾けなかったから
 ではないかと憶測されている。プロコフィエフは両手用に改作も考えていたようだが実現はしなかった。
 作曲者の死後、第二次大戦で右手を失ったドイツのピアニスト、ラップによって初演された。
 一般にプロコフィエフの協奏曲の中では評価が低く、失敗作との見方もあるが、近年は再評価の動きもある。

コルンゴルト:ピアノ協奏曲(左手のための)
 ヴィトゲンシュタインが最も気に入っていたらしい作品。しかし、コルンゴルトの存在が軽視、あるいは
 忘れ去られるのに伴って、この作品も埋もれていった。コルンゴルトは他に、「2つのヴァイオリン、チェロと
 左手ピアノのための組曲」も作曲している。一方、通常のピアノ協奏曲は残していないようだ。
291名無しの笛の踊り:2006/01/03(火) 18:49:21 ID:/dlIQFYY
R.シュトラウス:「家庭交響曲余録(パレルゴン)」、「パンアテネの行列(大祭)」
 前者は家庭交響曲のモティーフを用いて作曲された。どちらも分厚いオーケストレーション
 がなされている。そのためヴィトゲンシュタインが、オーケストラが厚すぎるがシュトラウスに
 オーケストレーションのことで文句は言えない、 と愚痴っていたとか。

ヒンデミット:左手のための管弦楽付きピアノ音楽
 ヴィトゲンシュタインの気に入らなかったため演奏されないままお蔵入りし、楽譜が紛失したとさえ
 思われていた不遇の作品。しかし2002年にアメリカの旧ヴィトゲンシュタイン未亡人宅の遺品の中
 から楽譜が発見され、2004年にベルリンでフライシャーのピアノ、ラトル指揮、ベルリン・フィルによって
 初演された。フライシャーはピアニストとしてデビュー後に右手の自由を失い、左手ピアニストとして
 活躍していたが、最近になって右手の機能も回復した。
292名無しの笛の踊り:2006/01/03(火) 19:21:47 ID:/dlIQFYY
バックス:左手ピアノと管弦楽のためのコンチェルタンテ
 これはヴィトゲンシュタインではなく、ハリエット・コーエンのために作曲された。コーエンは
 バックスの公然の愛人だったが、右手を失ったわけではなく、一時故障していた。
293名無しの笛の踊り:2006/01/03(火) 21:28:46 ID:KM3pwH2u
実家に帰省している間に書き込みが多いこと!しかもためになる。

フライシャーについて調べていたらこんなのが見つかった。

http://d.hatena.ne.jp/fugetzu/20050814

これによるとフォーレもヴィトゲンシュタインのために書いているようだ。
ヒンデミットも好きな作曲家なので聴いてみたいものだ。

ディヴァージョンズのCDはどれも面白いが,やはり小澤/フライシャー盤は
他の左手のための協奏曲を録音しているので興味深い。少々トピずれになるが
プロコフィエフの第4番の面白さはいまだにわからない。1〜3番はいずれも名曲だと
思うのだが。先日舘野泉氏/日フィルの演奏を聴いたが,演奏の出来の問題も
あってさらに面白くなかった(ちょっと痛々しかった)。が,ともかく脳梗塞から
復帰して演奏している努力は評価する。次回はディヴァージョンズを演奏してもらいたい。

私の聴いた実演はフライシャー/新日フィル。10年近く前のもの。指揮者は忘れた(手塚氏?)
[正確なデータを知っている人よろ]。当然フライシャーが左手で演奏している頃で,
毎年1曲ずつ左手のための協奏曲を演奏していたと思う。
そういえば両手が使えるようになってからは新日フィルには来日していないような・・・。
294名無しの笛の踊り:2006/01/03(火) 22:30:10 ID:OKGArT/v
フォーレは1924年に没している。最晩年に依頼に応じたということも考えられなくはないが、
だとしても別の作品ではないか? 件の幻想曲ト長調op.111は1918年の作品だ。
295名無しの笛の踊り:2006/01/03(火) 22:58:46 ID:OKGArT/v
>>289で紹介いただいたサイトからその他の協奏作品を拾ってみると

【ヴィトゲンシュタイン委嘱作品】
フランツ・シュミット:ベートーヴェンの主題による協奏的変奏曲、ピアノ協奏曲
ボルトキェヴィチ:ピアノ協奏曲第2番、ロシア狂詩曲

【それ以外】
ヤナーチェク:カプリッチョ(室内楽に近い編成だが)
マルチヌー:左手ピアノと小管弦楽のためのディヴェルティメント
ノヴカ:左手のためのピアノ協奏曲
ローレム:左手のためのピアノ協奏曲
296名無しの笛の踊り:2006/01/04(水) 10:04:16 ID:IsWvonq4
鰤に委嘱した際の我が外務省の文書、公文書として残っていないものやら?
原文晒し上げたいと思わないかい?
297270:2006/01/04(水) 21:26:34 ID:tLatu/8z
>>296
私は入手してないんですう。
実は探したんだけどね、見つかんなかった…
国会図書館にでも行きますか…。
    
>>261さん、遅くなってごめんね。
鰤の自筆譜は東京芸術大学にあったのが、1987年に再発見されたんだって。
ラトル盤が、その楽譜を使ってるらしいよ。
ラトル持ってる人、ほかの演奏と違いますか〜?
298名無しの笛の踊り:2006/01/04(水) 22:00:07 ID:oN1Q1/Kc
>>297

彼は自筆譜を日本に送って,その複写譜(カーボンコピー)を手元に持っていたと
いうことを読んだ気がする。だとすると譜面は同じじゃないかと思う(確証はないけど)。
299297:2006/01/05(木) 23:33:51 ID:jaM5VClB
>>298
譜面見たわけじゃないけど、鰤はNY初演前に、第三楽章に32小節のカットをしたんだとか。
ちょうど来日してたラトルが、それを見てるとこが雑誌(音楽の友?)に載ってた。
300298:2006/01/06(金) 00:02:47 ID:kGvpgTnj
>>299

なーるほど。ではこの週末にCDを聴き比べてみるとしよう。
301270  また…?:2006/01/06(金) 00:39:53 ID:EONUC969
って言われると思うんだけど、日本側の資料じゃダメ?>>296
    
  昭和十四年三月二十四日  
                紀元二千六百年奉祝会長 公爵 徳川家達
外務大臣有田八郎殿
     紀元二千六百年奉祝楽曲ノ件
(略)友邦国民ノ心カラナル祝詞ヲ言葉ナラザル言葉タル音楽ニ依リテ受クル(略)祝典ニ寄セル
管弦楽曲ヲ本会ニ寄セラレ度キ(略)  
要綱
一、楽曲形式  管弦楽曲(合唱付ニテモ可)
 交響曲/交響詩曲/交響組曲/序曲/行進曲
一、演奏時間
 楽章ヲ分ツ場合ハ一楽章十五分乃至二十分程度、楽章ヲ分カタザル場合ハ
 三十分乃至四十分以内
一、楽曲数
 一ヶ国ニ付一曲(形式五種ノ内一種選択ノコト)
一、経費
 必要アル場合ニハ本会ニ於テ左ノ区分ニヨリ所要実費ヲ負担ス
 一 交響曲、交響組曲、交響詩曲  一万円以内
 一 序曲 五千円以内
 一 行進曲 二千円以内
   
読みにくくてごめん。上の文章に沿って依頼されたんだろうけど
具体的な指示は、これだけ。
テーマ、曲調に関する指示は無い…



          
302270 しかもまだ続くし…:2006/01/06(金) 01:11:26 ID:EONUC969
おまけに、具体的な依頼文も無い…>>296さん、やっぱこれじゃダメ?
鰤の場合NYに居た為、英外務省を通さず
「祝典ノ意義其他ニ関スル打合セハ直接本人トオコナワレタキ由ナリキ。」だって。
  
で、わたしがここまで長々書いてきたのはですねえ、
「昭和十五年八月十六日、外務省ヨリ、英国「ブリテン」作曲「交響曲」ヲ転送シ来タレリ。
然レドモ、本楽曲ノ到着遅延シタルヲ以テ、之ヲ演奏スル準備整ハザルト、
本楽曲ハ神武天皇ノ神霊ヲ讃フルノ意味ヲ有スルモノニシテ「奉祝楽曲」ノ内容ヲ有セザル
節モアリ〜略〜」
   
!!!神武天皇が出てきた〜!ってことなんですよ。
ただ、どっから出てきたか、がわかんない。近衛首相の名で鰤に送られた拒絶の
手紙にはそれを理由に挙げてないし…(キリスト教色が強いのと曲が辛気臭いMelancholy
なのが、いかん、と。)
   
鰤は、あのとおりだし…

  
303名無しの笛の踊り:2006/01/06(金) 01:36:51 ID:twi5nBfM
いやー Op.20, 21ではさすがに議論噴出というところだナ〜。
ミケランジェロへはいつ行けるのかな〜。(とは言うものの週末に
Op.20の聴き比べをするので亀レスとなるのは避けたいが)
304270ごめん、ミケランジェロ:2006/01/06(金) 03:11:34 ID:EONUC969
ただね、気になるのは鰤が>>301を(Boosey&HawkesのHawkesを通して)知ると、
ほとんど即座に”Shinfonia da Requiem”ってタイトルを出して、which sounds
rather what they wold like"って言ってることなんだよ…
   
>>272さんのいうような鰤のくせ?かなぁ。
追悼曲ってのが、頭にあって、だから「追悼曲」プラス反戦曲なんじゃない?
       
つまり、なるべく目立たないように反ファシズムしようとしたんじゃないかと…
火の無いところに煙は立たない…って弱気になってきちゃった。
まぁ目立たないどころか鰤は新聞なんかにも「この曲は反戦争!」って言いま
くってるし、神武天皇なんて一言もいってないんだけどね。
    
日本側が気をまわしてとりつくろったのかも知れないし(言い忘れたけど、引用
は「紀元二千六百年祝典記録」、この大行事を後世に残すぜ!って本)、
British Counsilがヤバイと思って神武天皇を引き合いに出して言い訳したのかも
しんないし…
   
「記録」の編者も、演奏会は「単独の行事の中で最大のページ数を占めている」
のに「ブリテン事件関係の記述の部分は根拠となる史料が掲げられていない」
って言ってるように、もうわかんない……とりあえず曲でも聴くか…