ヴァイオリン部門のみの報告です。
小学生の部 (演奏順)
名古屋大会1位
曲の構成◎ 序盤のメリハリで一気に引き込む。
大胆な曲想を練りだすのに必要なボウイング技術は高く、線の細い女子の
お手本になると思う。ただ、オーバーアクションになりがちなので
その演奏スタイルは好みで評価が分かれるだろうなと思った。
ポジ移動後の音程が不安定、重音は美。
大阪大会1位
安全策をとる方向だったのか、テンポが遅めの上、我慢できずに前に
転んでしまった箇所がいくつかあった。音色の美しさと音程の正確さに
技術の高さを感じたが、全体的に緩慢になったため「上品」だけど「面白みの
ない」演奏になってしまったのが残念だったかも。
福岡大会1位
名古屋大会の子と似たような体格だったが、演奏スタイルや全体の曲作りは
真逆だった。硬めの音づくりで、音色の幅も少なめ。ボウイングの幅が広がれば
これから成長すると思う。曲の構成が良く、小学生らしい真面目で実直な演奏
だった。
東京大会1位
さりげない動作から繰り出すstop&goが、(良い意味で)小学生らしくない感性と
技術の高さを示していた。曲の流れの中の「決め音」を熟知してキッチリ外さない
ところは特筆。左手の安定度も抜群だった。
満場一致で全国1位だろうと予想していたが、違わなかった。
ヴァイオリン部門
中学生の部 (演奏順)
東京大会1位
出だしの音が雑音に聞こえた。写真撮影の際にも出だしの一音に関しては
「同じ音」を出していたので、何度演奏してもあの出だしなのだろう。彼に関する
予備知識を全く持たずに見た(聴いた)感想は、正直、「雑」「荒」「硬」という印象だった。
ただ、曲の内容をきちん理解し自分のものにしている点、構成や曲想が面白く、
常にアグレッシブな表現で飽きさせない点では他の子の追随を許していなかったと思う。
特筆したいことは、上半身と下半身のバランスの悪さ。ビジュアル的に美しくなかった。
名古屋大会1位
スーツのジャケット着用は演奏への影響が少なからずあるんじゃないだろうか。軽やかな
ボウイングなのに、出てくる音は男子にしか出せないような芯のある柔らかい音、特に
単音の音色の美しさに個性があり、とても惹かれた。曲の構成も単調にならずに良かった
のだが、重音が不安定だったのが残念。
福岡大会1位
小学生の福岡選出の子と似たようなタイプで、真面目で実直な演奏内容。
女子らしい音色作りをしていて好感を持った。全体的に裏拍やフレーズの終わりが
転んで走りがちになっていたのが気になったが、それ以外は技術的にも安定していて
無難な演奏だった。
大阪大会1位
出だしの一音の大胆さは、私にとっては意外だった。フレーズごとにつながりをきちんと
捕らえていて全体の起承転結を流れるようにまとめていた。東京大会の子 同様、曲を
きちんと把握して聴かせどころの壷を押さえてくるところも上手。右手、左手の技術の高さは
4人の中では抜群。おそらく会場の観客は、この子が1位だと誰もが疑っていなかったの
だろうと思う。結果発表の際のどよめきにこの審査結果は賛否両論あるだろうなと感じた。
ヴァイオリン部門
正直、この部門は聴くのに集中力欠いてますw
高校生の部 (演奏順)
福岡大会1位
女子の割にダイナミックな動作で、男性的な音を出していた。ボウイング
フレージング、細かい音程音色へのこだわりに若干荒さが見えたが
全体的に飽きさせない構成で面白かった。
大阪大会1位
音の粒立ちが良く、さらりと流れていく中にも「理路整然とした混沌」のような
イザイの香りを感じた。ロマン派サン・サーンスの楽曲として鑑みれば
方向性は若干ズレていたのかもしれないが、もう一度聴いてみたいな・・・という
気にさせる、良い意味でクセのある演奏だったように思う。
名古屋大会1位
非常に独創的。ボウイングの硬さのせいもあるかもしれないが、大胆と荒さ
の表裏を行き来しているような演奏だったように感じる。ベタに弾く部分と
サラリと弾く部分のメリハリを付けると曲としての流れがスムーズに行くような
気がする。音程のとり方、音色の質感が、(良い悪いは別にして)パガニーニ風
だったところも他の子には無かった個性。
東京大会1位
テクニックは安定度抜群。多彩な音色、一音一音へのこだわりがすばらしかった。
ただ丁寧すぎるあまりなのか、フレーズごとに起承転結してしまうような印象で
何度も同じ念仏を聴かされているような気になってしまい、最後には「お腹いっぱーい」
で飽きてしまった。前出三人が特に三者三様の個性的な演奏を聴いた影響と
自分の側のモチベーションやコンディションが低下し、面白みを見出せることが
出来なかったせいかもしれないので念のため。
以上、個人的主観で書かせていただきました。
あと、追記です。
中学生の部ブルッフ後半の、ピアノと呼応した後、ピアノとヴァイオリンで奏でる重音三度。
(フルオケ版では、コンマス&ソロが2台で奏でる純正三度のライン)
ベートーベンのスプリングソナタと通じるものがあるんですが、(流れの中で)ピアノとの
純正に近づけようという意識が見えた子もいて、そこで音楽の感性が如実に表れてくるな
と思いました。
また、いずみホールは、立ち位置がちょっとズレると音が飛んできませんでした。
その点で損した子もいるかなと。(それを見抜くのも、音楽センスのうちと言われれば
それまでですが・・・・)
一つ気になったのは、ピアノの伴奏。
ペダルを踏む音がうるさい人が一人。バイオリンの音と被って床音が聞こえてくるのには
さすがに閉口しました。審査結果に影響するようなことは無かったようですが。
あと、伴奏ではなくピアノ演奏になってしまってバイオリンの音量を凌駕してしまう人、
ピアノ平均律の独特の不協音を繰りだす人、聴いててとても不快でした。
伴奏はとても大事です。
別角度からの異論、加筆等ありましたら寄稿お願いします。