>>36続き
リュックを背負い、ガールフレンドを連れて、アメリカの私の家に乗り込んできた、
あのイギリス人のことは決して忘れないだろう。
「あなたに会いたくて・・・」たしかに、私は心を打たれた。
なんといっても、ふたりはこの望みを実現するために、大西洋を越えてきたのだ。
でも、私にはレコード会社の責任者と仕事の打ち合わせがあった。
「前もって知らせていただくべきでした。でも、どっちにしても、ごめんなさい。
お相手はできません。」私は遠回しな言葉遣いはせず、単刀直入に言って、ふたりの鼻先で扉を閉めた。
イギリス人は真っ赤になって怒った。数日後、私は侮辱の手紙を受け取った・・・数ヵ月後、今度はお詫びの手紙が届いた。
(エレーヌ・グリモー『野生のしらべ』 北世美和子・訳 講談社・刊 より)
どこの国にも阿呆はいるものです。
ホテルの部屋に、食堂に深夜あるいは早朝押しかける、
街を歩いているところを断りもなく写真を撮る、
移動の時間を調べて新幹線のホームで待ち伏せする、
サインを30枚も40枚も50枚も要求する、
そんな輩が何人もいるというのは日本だけかもしれませんが。