作曲家の著作について語るスレ

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118( ☆´ー) ◆PpNattILVM
http://www.bk1.jp/0247/02476190.html
山田耕筰『生れ月の神秘』、実業之日本社から近く出るみたい。

さて、この本の紹介を。
>>19では1925年と書いたけど、それは、国立国会図書館に
残っている4版の出版年であって、初版がいつかは不明。

1972年に復刊された際に、耕作の妻、山田真梨子が文章を寄せている。
それによると、出版された当時、占いの専門家もこの本を参考にして
いたそうだ。占い関連の本じたい、とても珍しかったらしい。
ただし、なっちがちょっと調べてみたところ、「占ひ」と名乗る本だけでも
「現代独占ひ」「お指の占ひ」「開運御鬮独占ひ」「西洋新式花占ひ」
「吉凶占ひ」などがあった。ただ、誕生月占いとなると、どうだろう。

ともかく、山田が誕生月占いの火付け役となったのは間違いない。
この本はロングセラーとなった。
119( ☆´ー) ◆PpNattILVM :05/02/24 00:59:49 ID:bu8ACaIq
「トリビアの泉」では、山田耕筰に関するこんなトリビアが
紹介されたことがある。

> 「赤とんぼ」を作曲した山田耕筰は自分の頭に毛がないこと
> を悩み名前の「作」の字にカタカナの「ケ」(毛)を付けた

しかし、真梨子によるとこうだ。
> 山田耕作という同名の人が多くて、よく電話が間違ってかかる
> ことが多かったので、『筰』の字に変えたのだと聞いております。

真梨子の序文には耕筰に関する面白いエピソードが他にも書かれて
いるのだが、あまりダラダラ書くわけにもいかない。
肝心の耕筰の占いにうつろう。

120( ☆´ー) ◆PpNattILVM :05/02/24 01:36:12 ID:bu8ACaIq
この本の構成を説明しよう。

各月ごとに「○月生れのひと」というタイトルがつけられた章が
設けられている。それぞれの章には、「性格」「なすべきこと」「短所」
「慎むべきこと」「子どもの運勢」の5つの節が設定されている。

付属資料として、「○月生れの偉人、名士と芸能人」が各章の
最後に配置されている。
復刊にあたって、ある易学者の手により、「○月生れの偉人、名士と
芸能人」には近年の有名人が新たに追加された。
長嶋茂雄、藤田まこと、朝岡雪路など。

文章は丁寧体。
改行するたびに、前の文章との間を1行開けるというスタイル。
たいてい1行から4行書くごとに改行される。

ということで、ページは余白だらけ。
普通の本で頭がクラクラしてしまう人でも、この本なら「文字の羅列」
に苦しむことはないのではなかろうか。

さらに、古めかしい用語があまり使用されていない。
そのため、今の時代を生きる我々でもたいして違和感を感じずに、また
あまり辞書に頼らずに読むことが可能だ。

やがて占い本が百花繚乱する時代になってもこの本が版を重ねて
いられたのは、上のようなことによるのだろう。
121( ☆´ー) ◆PpNattILVM :05/02/25 23:11:31 ID:hqdWYLfC
各月生まれがどう言われているか、冒頭を紹介する。
生まれつきこれらの傾向があるってこと。

1月 指導者、思索家としての素質あり。
2月 人一倍強い人間であり、また一方では人一倍弱い人間でもあるといわれる。すぐれた才能を持つ。
3月 工学、演劇、文学の才能に恵まれている。
4月 頭脳のはたらきを必要とする職業につけば、必ず頭角を表す。
5月 才知と技術に恵まれている。
6月 二重の性格を与えられていることが多い。良い方を活かすよう絶えず心がけよ。
7月 大きな事業を画策し完成することにかけて、卓抜した才知と非凡な能力に恵まれている。
8月 心優しく、寛大で、磁力を豊かに備えている。
9月 寛大で、情に厚く、心がやさしくて、磁力にめぐまれている(←8月生まれとほとんど一緒!)
10月 度量が大きく、胸は大望に燃えている。
11月 絶倫な意力と、偉大なおちつきとを備えている。 
12月 淡白な、精力的な、進歩的な性格をもち、同胞の信頼を勝ち得る。

どの月生まれでも何らかの才能があるってことらしい。
なお、磁力とはこの場合、「人をひきつける力」。
122( ☆´ー) ◆PpNattILVM :05/02/25 23:53:29 ID:hqdWYLfC
この本には、いろいろな人生訓が書かれている。
「なすべきこと」「慎むべきこと」で列挙されているもののなかには、
迷信だと批判されるであろう項目(例参照)もあるにはあるが、それら
の割合は少ない。多くは、他の月生まれが読んでもためになるだろう。
このことも、ロングセラーになった理由だと思う。

例 四月生まれの女性は、紫水晶か金剛石(ダイヤモンド)か瑪瑙
(メノウ)の入った指輪をはめろ。男性は、これらのいずれかの石を
用いたネクタイピンをさせ。

そして、この本は基本的に前向きだ。
誰しも才能や欠点を持っている。己の長所と短所をよく理解し、
その上でなすべきことをなしていけば、幸せになれるのだと。
著者が直接そのように書いているわけではないのだが。

『生れ月の神秘』のレビューは以上で。