*** クラシック音楽の病理 ***

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183 ◆W38PZwEQ
自由奔放に吹きまくっているように見せかけながら実は予定調和のワクに収まってしまう――
これは確かにジャズが陥りがちな落とし穴であり、そういった見せかけの放埒を演技する
ミュージシャンとそれに安易に熱狂に応える聴衆とのバカげたナレアイが、いま多くの
ジャズコンサートで見られる。
しかしこれはジャズだけの落とし穴ではない。ロックもまた大いに同じことに陥っている。
そしてアドルノが擁護しようとするクラシックこそ、演奏者と聴衆の卑劣なナレアイを
長年にわたって制度化してきた張本人であって、ジャズやロックがそうした形骸化に陥って
いる姿は、ぼくにはジャズもロックもクラシックみたいになってしまった、というふうに
見えるのだ。
中村とうよう/1986年