日本道路公団が高速道路整備について、96年から国土交通省に異議申し立てできる権限を持ちながら、
一度も反対意見を表明していないことが15日、同省が道路関係4公団民営化推進委員会に開示した
資料で明らかになった。
申し立ては公団の経営責任を明確化し、自主性を高める仕組みだが、結果的には同省に追従していた格好。
こうした公団の姿勢が、赤字路線が次々に整備計画に盛りこまれる温床になったとみられる。
政府が株式を保有する特殊会社として民営化会社がスタートした際、いかに自立性を担保するかが、
民営化委の議論の焦点として浮上してきた。
開示資料によると、公団が何らかの意思を国交省に表明したケースはこれまでに40件。
このうち、2件で「高規格幹線道路網計画を早期に実現する上で必要な区間と考える」と国交省の
整備計画改定を積極評価、35件は「意見なし」「異議なし」などと同省の方針に従っただけだった。
このほか、2件は動植物保護をめぐる関係機関との調整などを要望したものの結論は「了解」。
残りの1件は無理のない償還計画を求める内容だった。
公団が了承した路線の中には、採算性の面から公団内で疑問視されたものもあるが、公団関係者は
「とにかく工事がしたいのだから、国交省に反対意見など言うわけがない」と本音を漏らしている。
こうした公団の体質もあって国の高速道路整備計画は現行9342キロまで延びたが、未整備の
約2400キロについては建設しても不採算路線になる可能性が高い。