318 :
1 ◆pb9q4Mec :02/03/13 23:07
えーと、しつこいようですが、具体的な手法は実際曲を聞いて分析するとして 不穏な和声に関してのコンセプトとは?
機能和声の拡大解釈ですか?
それとも『不穏な和声』の定義が曖昧?
319 :
名無しの笛の踊り:02/03/14 00:11
スコアが入手可能なクラシック曲の中から、1さんが「不穏な和声」があると
思う曲を列挙してみれば、それらについての解説を書いてくれる親切な人もい
るかもしれないよ。
今の質問では漠然とし過ぎてるね。具体的な曲名もホルストの「火星」くらい
しか出ていないと思うし。
320 :
1 ◆pb9q4Mec :02/03/14 01:25
> 319
そですね、じゃぁ、Holstに絞って話をします。
まず、「Venus」
3小節めは
Fmin. Gmin, Aフラットmaj7#11?(これってUST?)Bフラット9、DフラットMin.
DフラットMinへは一時転調だと考えれば良いの?
何を基準に 転調している?
「Mercury」
1小節めから
Bフラット→E のくり返しが3回続きますよね?そのあとA E D E と続くが
この増度進行は何か理論があるの?単なるフィーリング?
そもそもなんで弦どうしで調号が違うの?
「Saturn」
最初の部分
Fltが下からa f h →g es aの繰り返し
一瞬コードが変わってるように感じるが、
コンバスFにいってるから、じつはF7#11の一発もの?
「Uranus」
最初の部分
調性が良く分らない・・・Baug?
で、いちばんききたい『サスペンスものでよく聴かれる感じ』に近いものがこれ。
「Neprtune」の最初の部分
flt が g e g e dis gis h gis 〜
下は h g h g gis h dis cis 〜
ここはEmin.とG#min.の繰り返し?この長3度進行がとてもかっこよくのだが理解できない。
3小節めで木管がG#min.を形成しているが同時にT.b.がAmin.をぶっぱなす。
その後それぞれ木管はAmin.に解決。
なぜかっこよく聴こえるのか不思議?
このモチーフがその後形を変えて何度か登場する、いずれも恐ろしくかっこよいが理解できない。
321 :
1 ◆pb9q4Mec :02/03/14 02:01
その2
『サスペンスものでよく聴かれる感じ』例えばハワードショアの「羊たちの沈黙」の感じは
ラフマニノフに近い感じがするのは気のせい?、で ラフマニノフはトリスタン和声に近い感じがする。
かなり不均衡な感じだけどギリギリの線で均衡を保ってるかんじ...
まとはずれかな?
322 :
名無しの笛の踊り:02/03/14 03:11
>>320 スコア見てないから、耳だけなのであいまいなところもあるが、
「Venus」
Fマイナーを主調と考えるとYの同主短和音。
「Mercury」
B♭3和音の第2転回形を考える。F→E B♭→A♭(=G#)またはBナチュラル D→E
と、どの音も2度進行するだけでEに行けることから、広い意味での倚和音と考えられる.ちなみに、F,B♭、Dは、Eのロクリア旋法に含まれる。
弦どうしで調号が違うのは初めて知った.多調とも思えないし、見てみないとわからない.
「Saturn」
フリギア終止の最初の和音の引き伸ばし。EsはDisと考えると良い.Amのドッペるドミナント(XのX)9の第5音下降変質の第2転回形。それの偶成和音。F#11ってのはけっこう近い。
そのあとE9へ行く。
「Uranus」
ハ長調のX9の#5(上行変質)。でそのあとTへは行かずYの第1転回形(事実上Tの付加6)へ行く
「Neprtune」
EmはG#mのYの同主短和音。で、ここでGとG#に対斜が起こる。古典機能和声ではありえない.むしろ教会音楽の語法。
で、G#mはAmの倚和音。で、これも古典機能和声では絶対にありえない。なぜなら、解決する時に連続5度が生じるから.
このように、3和音によって成立しているのに古典ではありえない進行をする。これが現代の耳には、整合性と自由性を兼ね備えたものとして知覚される.(当時の耳にはまったく自由に聴こえたんだろうが)
もう1つ、教会音楽の響き(われわれには神がかった神秘的なものとして「刷り込まれ」ている。)によって、おそろしくかっこよいと思うのである、という推測.
323 :
1 ◆pb9q4Mec :02/03/14 03:23
>322
うわ、すごい..久々に「インターネットってすごい」と思った瞬間。
すごいね、2ch.って。
っていうか、あなたは譜面もないのに聴いてそれだけの事が分るのか。
プロですか?それとも俺が知らないだけで常識なの?
内容に関してはちょっと待ってください、もう少しよく読んで意味を咀嚼せねば完全には理解できない。
でもなんだかとても大事な事が分りかけてる予感。
324 :
名無しの笛の踊り:02/03/14 03:30
>>323 プロではないし、常識でもない.
けっこう独りよがりな書き方なので参考程度に.
特に最後の4行.
和音にしたって、他にいろんな言い方がある.これよりもっと簡素な理屈であらわせるかも知れん。
325 :
1 ◆pb9q4Mec :02/03/14 04:07
>「Venus」
> Fマイナーを主調と考えると ?、 の同主短和音。
フムフム、ちゃんと意義があるわけだ。なるほど。
>「Mercury」
>B♭3和音の第2転回形を考える。F→E B♭→A♭(=G#)またはBナチュラ>ル D→Eと、どの音も2度進行するだけでEに行けることから、広い意味での>倚和音と考えられる.ちなみに、 F,B♭、Dは、Eのロクリア旋法に含まれる。
倚和音??聞いた事あるな、(そんな程度です私の知識)
Jazzでいうところの裏コードとも取れますよね。
>弦どうしで調号が違うのは初めて知った.多調とも思えないし、見てみない>とわからない.
1stとViolaがBフラット。2nd とCelloがA で書かれています。C.b.はハ調
>「Saturn」
>フリギア終止の最初の和音の引き伸ばし。EsはDisと考えると良い.Amの
>ドッペるドミナントの第5音下降変質の第2転回形。
フリギア終止...そういうのもあるんだ..何も知らんな、俺
B7減5ってことですね。第2転だからこんなに下でF 鳴ってるんだ・・
>それの偶成和音。F#11ってのはけっこう近い。 そのあとE9へ行く。
なるほど、解決に近い形をとるわけだ。
326 :
1 ◆pb9q4Mec :02/03/14 04:08
続きです。
>「Uranus」
> ハ長調の ?」9の#5(上行変質)。でそのあと1Tへは行かず?、の第1転> 回形(事実上?氓フ付加6)へ行く
G7の増5ですね。それが聴いて分るのがすごい、貴方。
> 「Neprtune」
> EmはG#mの?、の同主短和音。で、ここでGとG#に対斜が起こる。古典機能和> 声ではありえない.むしろ教会音楽の語法。
> で、G#mはAmの倚和音。で、これも古典機能和声では絶対にありえない。> なぜなら、解決する時に連続5度が生じるから.
とりあえず意味は分りました。ちょっと混乱してます。
主調はEmin.ですか?調などないのかな?
『G#mはAmの倚和音』ですか、全部半音でぶつかるのになぜ美しいのだろう?
>われわれには神がかった神秘的なものとして「刷り込まれ」てい
>る。)によって、おそろしくかっこよいと思うのである、という推測.
この文素敵です。とりあえず私モードを勉強する必要がありそうですね。
327 :
1 ◆pb9q4Mec :02/03/14 04:10
特殊文字、文字化けしちゃいました。
見にくくってすみません。
328 :
名無しの笛の踊り:02/03/14 04:36
>フリギア終止
どの調、旋法にも導音というものがあって、たとえばハ長調ならシ→ドと2度上行して解決するが、
フリギア旋法だけはファ→ミと半音下降する導音を持っている.
それで、短調の場合ベースに第Y度音→第X度音という進行があって半終止する場合をフリギア終止というのだが、
この場合、X度(E9)の第2転回形へ行ってるから厳密にはそう言わないんだと思う.でもそれに近いテイストを持ってるってことは確かだけど。
だからちょっと混乱する書き方だった.スマソ
>倚和音
倚音ってのは、たとえばドミソなら、レ→ド や ファ→ミみたいに、和音の頭で入って解決する、一種の非和声音。
その倚音で構成された和音が倚和音。
たとえば、ドがベースになっていて、ラ♭ ファがそれぞれソ ミに解決するとき、
最初のFm(第2転回形)は解決する先のCメジャーの倚和音。
329 :
名無しの笛の踊り:02/03/14 05:00
>全部半音でぶつかるのになぜ美しいのだろう?
これに関しては、漏れが発見した法則(感覚的なものだが)で説明してもよろしいかな?
まず、3つ隣り合った半音はきれいでない.例えば、A、B♭、Bナチュラル.
こういう和音が起こらないように注意しながら、
まず根音を設定し、(たとえばとりあえずド)その上に、短9度、短2度以外のどの音程でも良いからどんどん重ねていく。増4、長7度を多く使うといいかも.
ドの上に、ドから長7度上のを置いてみる。そこから完全五度上のファ#、短7度のミ、完全4度のラ、増4度上のレ#
ド、シ、ファ#ミ、ラ、レ# 一見どう見ても複雑な不協和音なのにすごくきれいに聴こえる.
しかし、ここに短6度上のファを加えたとたんににごった響きがする.なぜかというとこの和音の中には
ミ、ファ、ファ#という3つ隣り合った半音が存在するから.
これおもしろいよ。いろいろ試してみて.
で、さっきの、ラ、ド、ミ、ソ#、シ、レ#をこの方法で分析すると.
ラの短3度上のド、そこから長3度上のミ、また長3度上のソ#、短3度のシ、長3度のレ#
で、ソ# シ レ#はラ.ド.ミのそれぞれ長7度上。
どこにも短9度は生じていない.また隣り合った3つの半音もない.すなわち、さっきの法則に合っている.
330 :
名無しの笛の踊り:02/03/14 05:22
そもそもこれって、ジャズのテンションノートやUSTがまったくこの法則に当てはまるんだよね。
で、スクリャービンの和声法もここから外れてない.
この2つに着目して逆算して割り出した法則なんだよね.
で、うまくやるとすごく複雑できれいな和音が作れるんだけど
ド、増4度上のファ#、完全4度上のシ、長3度のレ#、増4度(減5度)のラ、完全4度のレ、増4のソ#、長6のファ
これで8音あるんだけど、この法則に完全にのっとってるはず。
で、これを音階的に並べてみると、メシアンの考えた「移調の限られた旋法 第2旋法」になるんだな.(或いはジャズのディミニッシュドスケールでも良い.)
というか、ここからも逆算して割り出したんだけどね。
面白いからやってみて.
331 :
名無しの笛の踊り:02/03/14 05:24
>>329 >しかし、ここに短6度上のファ
訂正 長2度上の
でした。スマソ
332 :
名無しの笛の踊り:02/03/14 06:10
世の中にはすごい人がたくさんいるんだなー
333 :
名無しの笛の踊り:02/03/14 14:15
クラ板の未来は明るい
334 :
1 ◆pb9q4Mec :02/03/15 01:40
>328.329.330
ありがとうございました。
フリギアはフリジアンスケールのもとになってるものですよね、きっと。
みふぁそらしどれみ
USTの話面白かったです。
なるほど『全ての音が半音でぶつかる』というより上に積み重ねていくように弾くと確かに綺麗です。原曲でもそうなってますしね。
遊んでみましたが、色々やってるうちに耳が慣れてきてAmin./G#min.が凄く綺麗な和音に感じてきた...おもしろいですね、
主調というものはないんでしょうかね。Emin.っぽく感じるけど調号は無しです。
335 :
名無しの笛の踊り:02/03/15 02:04
こんなふうに聞くことができれば、近現代曲は楽しいんだろうな〜
自分の耳でわからないまでも、解説してもらうととても面白いです!
336 :
名無しの笛の踊り:02/03/15 02:08
>>334 フリギアとフリジアンは同じものですよ.
まああんな解説だったが、楽しんでもらえたらうれしい.
337 :
名無しの笛の踊り:02/03/15 05:22
1たんはポピュラー音楽には明るいんじゃない?
338 :
1 ◆pb9q4Mec :02/03/15 07:08
いや、今回のレスで「何度もピアノで弾いてみる」のがどれほど感覚を掴むのに役立つか再認識した、有難う322〜さん。
しかしピアノあんまりうまくないのですごく労力はいるけど・・
やっぱり音大出とけば良かったな〜〜頭悪くて無理だったけど。
329でおっしゃってることはすでに機能和声ではないのかな?
HOLSTは曲によって調号がないからすでに無調?
先のレスに出た感覚的無調ってやつかな?
そういう曲作ってると途中で何だか恐ろしくなってくる。
「何をしてもいい」と言われてるようで・・・
このあたり57で言ってる事は何となく理解できる。
339 :
名無しの笛の踊り:02/03/15 07:19
>>338 >やっぱり音大出とけば良かったな〜〜頭悪くて無理だったけど。
音大は頭いい人が行くとこなのかー。
340 :
名無しの笛の踊り:02/03/15 15:48
ほんとにダメな人は音楽も受験勉強もダメだろうけどな。
341 :
名無しの笛の踊り:02/03/16 02:42
無調ではないよ。ある音を根音とした和音があると言うだけで、そのおとを基準にしているのだから、無調とは言えない。
だからって何調というふうに断定できない。これはバルトークにしばしば見られる。
>「何をしてもいい」と言われてるようで・・・
だから基本的に何をしてもいいって前にもいったはずだけど.....
そこに何かしらの普遍性をもたせるために機能和声だの十二音技法だの、ようするにいろんな様式があるんだと思う。
やっぱり人間って何の基準もないと不安になる生き物だから。
342 :
名無しの笛の踊り:02/03/17 04:09
343 :
1 ◆pb9q4Mec :02/03/17 15:59
色々試したりしていると329さんの
『短9度を作らない.また隣り合った3つの半音を作らない法則』の普遍性が良く理解できてきました。
ところで、クラスターは全く対極にあるものですが、これには何か法則のようなものはあるのでしょうか?
344 :
名無しの笛の踊り:02/03/18 20:06
クラスターは、一見メチャクチャに作れば良いように思えるけど、響きが混濁
しないように作るためには職人芸が必要らしいよ。低音の扱いがキーポイント
だとか。
345 :
名無しの笛の踊り:02/03/18 20:39
あれれクラスターは混濁が狙いなのではないの?
346 :
名無しの笛の踊り:02/03/18 20:52
必ずしもそうでは無いでしょ。
伝統的なクラシック音楽オンリーの耳からはどう聴こえるかは知らないが、
「美しいクラスター」というのも確かに存在する。
クセナキスのように、混濁にはお構い無しで、とにかくグリグリ動かすと
いう選択肢もあるだろうが。
347 :
名無しの笛の踊り:02/03/20 12:40
良スレにつき、age 。
348 :
◆pb9q4Mec:02/03/20 16:27
クラスターやってると良いのかどうか判断つきかねます。
映画音楽色々聴いてみると確かにスリリングでなんとも言えないかっこよさのクラスターがある事に気付く。しかしコピーできない・・
D Es G Gis H
みたいなのってクラスター?
C(バス)の上に Dis E Gis H みたいなのは?
クラスターに定義はあるの?
349 :
名無しの笛の踊り:02/03/20 16:42
>1さん
クラスターのある映画音楽ってたとえばどんなの?
350 :
名無しの笛の踊り:02/03/20 19:51
代わりに答えよう。
ジョン・ウィリアムズ:「未知との遭遇」
キューブリックが「2001年宇宙の旅」にリゲティを使って以来、SF映画音楽
の基礎的イディオムになっている感がある。
351 :
名無しの笛の踊り:02/03/21 00:37
>ジョン・ウィリアムズ:「未知との遭遇」
これ最強
352 :
◆pb9q4Mec :02/03/22 08:51 ID:dvo+lATH
>349さん
>クラスターのある映画音楽ってたとえばどんなの?
ジョン・デブニーのエンドオブデイズとかね・・曲はあまり印象に残らないけどハリウッドサスペンスまるだし・・ってかんじの
353 :
名無しの笛の踊り:02/03/23 00:25 ID:C5PMNrbs
ピアノのクラスターはお笑い系でよく使われるよね.
354 :
名無しの笛の踊り:02/03/23 04:43 ID:4KIdDJSI
ピアノのクラスターはピアソラなどにも。
ポピュラー音楽にも常套的語法として定着した。
>>354 モダンチョキチョキズとかがやってたよなあ。
椎名林檎なんかはノイズを音楽へ混入してくるよね。
ピアノのクラスター奏法もやっていたし。
良スレ上げ
上がってなかった……。
359 :
名無しの笛の踊り:02/03/28 01:56 ID:eAl3rRPg
こういうの挙げたらきりないかもなあ。
小島真由美だってやってるでしょ。
age
あげ
362 :
名無しの笛の踊り:02/04/03 00:01 ID:Wi0ePaz2
ここは何処?
保全あげ
あげときます。書くネタがない
365 :
名無しの笛の踊り:02/04/19 13:13 ID:55yzZlNw
シェーンベルク以降の12音音楽の展開について、誰か解説してくれないか。
366 :
名無しの笛の踊り:02/04/23 02:53 ID:urfuKXbs
愛の死・・・・ああ!!