私がトルコに勤めたのは18の頃だったわ。実家はひどい貧乏で、父はアル中の土木作業員、
母は夕方から深夜までスナック勤め。中学を出ると家のタンスから10万円を拝借して、逃げる
ように東京へ出て来たの。新聞広告で見た住み込みの縫製工場に就職してとにかくお金を
貯めたわ。街を歩くと色んな男の人に声を掛けられて、小遣い銭欲しさに何十人って男と寝た
わよ。ある日ある男から、「そんなにお金が欲しかったら、トルコ風呂で働いたらどうだい」
って言われてね。多少躊躇したけれど、実家にいた頃のような貧乏だけはしたくないと思って
トルコの世界に飛び込んだのよ。あとはもうお決まりのコース。男ができてそいつがヒモに
なって、稼いではヒモに持ち逃げされて、それでも男の愛に飢えているからまた違う男に
騙されるの繰り返しよ。でも何とか5年トルコ嬢をやって、当時のお金で2,000万円貯めたのよ。
それを元手に今のスナックを始めたってわけよ。トルコでイヤな客をさんざ相手にしていた
から、スナックの仕事なんて随分楽に感じたわ。お客さんとも随分寝たし、店は繁盛したわよ。
そんなときに店にふらっと現れたのがあなただったのよ。
あの人が始めて店に来たときのことは、よく覚えているわ。店に入って来るなり、いきなり大声で
「ママ、俺今ソープランドの帰りなんだ。風呂上りで喉が渇いたな。ビールをくれるかい」 なんて
言うのよ。なんて図々しい人って思ったわよ。「あら、お楽しみだったのね」 とお愛想を言うと、
「ママ、ソープランドってどんなことするのか知っている?」 なんて訊いて来くるのよ。「う〜ん、
なんとなくしか知らないわ」 って答えたら、「男と女が個室で素っ裸になって、女がおよそ考え
られる、あらゆるスケベなサービスをしてくれる場所なんだよ」 なんて言い出すの。「へ〜、それじゃあ
男の人にはたまらないでしょうね」 って応じたら、「そうなんだよ。俺は毎週行っているんだ。ディープ
キスをして、服を脱がせ合って、オッパイをモミモミして、一緒に湯船に入っていちゃいちゃして、スケベ椅子
で入念に洗ってもらって、マット洗いで、ヌルヌルのローションで手コキ、パイズリ、フェラチオをしてもらって
まずは一発目を出すんだ。お口の中で出させてもらって、精液を飲んでもらうんだ。もう最高だよ。男の天国だよ」、
なんて遠い眼をして言うのよね。なんて人なのと思ってけれど、セクハラを楽しんでいるって感じじゃなくて、もう
根っからソープが好きで好きでたまらないって様子だったわ。それからは週に1度は飲みに来てくれて、しゃべる事
と言ったらソープランドのことばっかりよ。でも、いつも 「ママも飲みなよ」 ってビール注いでくれるのよ。
悪いお客さんじゃないわね、と段々思い始めたわ。で、知り合って半年くらいして、突然告白されたの。「俺、ママ
みたいな色っぽいムチムチの熟女が好きなんだ。なあ、俺と今度ホテルに行こうよ」 なんてストレート
に誘って来たの。私もしばらく男日照りだったから、3回目くらいにアタックして来たときに応じたのよ。本当に優し
くて、女を扱い慣れているような抱き方だったわ。でも、女をとても大切にしてくれて
徐々にあの人が好きになってきたの。お互いに独身だし、月に3〜4回はホテルに行く仲になったのよ。
今はあの人とはセックスフレンドって感じかな。
ママ、俺はな、彼女ができると 「俺はソープランドにちょくちょく行くんだ」 って
自分から言っていたんだよ。当然マトモな女はその時点で離れて行くよな。だから
今までにつき合った女は、水商売とか風俗とか、人妻ばっかりだったな。男なんだから
ソープランドは当然なのよ、と平気でいてくれる、心の広い女たちだったよ。ただ、
素人の女と二股かけるのだけはみんなイヤがったな。だから俺もソープでしか遊ばなく
なったんだよ。結婚するとしたら、「俺はソープランドに行くからな」 と宣言しても
動じない女がいいな。ま、裏街道の女ってことになるんだろうな。ママは結婚していた
頃、旦那はどうだった?ああ、やっぱり行ってるみたいだったか。ママ、それが男って
ものだよ。男にとってソープランドは絶対に必要なんだよ。な、分かってくれよ。