MILES DAVIS/マイルス・デイビス Part4

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501TV

1975,1/31〜2/1,大阪,アガパン・インタビュー

児山紀芳:
今回の日本公園に関しては凄いという意見と同時に、つまらない、良くない、という
批判的な見方をする評論家もいる。批判されて何か感じますか。

マイルス:
別にどうってことはない。何も感じないよ。オレはオレのやりたいようにやるだけだ。
いつも勉強しているんだ。音楽の研究をね。いつもだよ。そうせずにはおれない。
だから中にはオレについてこれなくなる連中だっているんだよ。だいたい評論家と
いうのは人々を啓蒙したり教育したりするのが役目であるはずなんだ。もっとも連
中が連中の頭の中で知っていることだけ−つまりクリシェというヤツだ−でしか物事
を判断しようとしないのなら話は別だよ。オレ達はそうじゃないからね。いつも未来
に向かって何かを言おうとしているんだ。
 それにオレの場合は何か異なったことをやる、というのが性なんだ。今だってホラ
(とスカーフをつかんでみせる)2枚のスカーフを巻いているけど、これだって、
おかしな流儀かもしれない。でもそうしたいからやってるだけなんだ。

児山:
私がこうしてインタビューしているのは、あなたの音楽についてもっと理解したいと
いう気持ちがあるからだ。

マイルス:
それはよく分かっているよ。ただ普段から連中は自分でもっと勉強すべきだよ。彼ら
はオレの知っていることは、とっくに知っているべきなんだ。オレは12才のときから
トランペットを吹いているんだ。5分やそこらでオレのやっていることが全部分かる
はずがない。オレにだって5分やそこらで日本語は話せないよ。

502TV:03/02/26 21:14 ID:???
1975,1/31〜2/1,大阪,アガパン・インタビューA

児山:
そんな風に言われてしまうと、このあとの質問がやり辛くなる。第一、あなたとのイ
ンタビューってのは私にはつらい仕事だ。あなたはミュージシャンだ。それも偉大な
ね。私は音楽のことを知らない。ギャップがあるんだ。

マイルス:
でもオレはライターじゃないよ。キミは書けるじゃないか。ミュージシャンだって
演奏できないこともあれば、ついていけないタイムだってあるんだ。どんなに凄い
ドラマーだってオレの思うようには叩けないヤツもいる。音楽をやるってことは
物凄く難しいものなんだ。非常に厳しい。実に厳しいよ。

児山:
言葉で表現するのが最も難しいのもあなたの音楽だ。

マイルス:
好きになったものを言葉で言い表すってのは難しいもんだ。どんなに惚れ込んだ女
でも、今のガール・フレンドのマイシャにだって「好きだよ」としか言えない。それ
も毎日なんて言えない。オレが「好きだよ」というときは心からそう言ってるんだ。
平凡な表現だよ。

児山:
日本のファンはどうですか。

マイルス:
熱心に聴くし、みんな何でもよく憶えているみたいだ。アメリカの聴衆と比べて静か
なのは日本にはブラック・ピープルがいないためだろう。