ドラマ版はハッキリしたコントラストで画面一杯に描かれてたのに対し、映画版は余白を残した作りだった。
原作の世界をエンタメ的に昇華したドラマは田村家や周囲の人情に泣いて笑う。
この作品には、観客それぞれの過去をフラッシュバックさせる余白がある。
映画を観ながら10年以上忘れてた昔の記憶がよみがえり、声を殺して泣いた。
声を出して泣きたくなった映画は今作が初めてだ。
観る人によって記憶の箱が開くシーンは異なる。箱を開ける必要がない人もいるだろう。
だから
>>76のように退屈に感じる人もいて当然なのだ。
しかし、忘れてた記憶がよみがえった場合、言葉に出来ない感情に襲われ途方にくれる。
圧倒的なパワーで自分の世界に引きずり込む作品を作るのは凄く大変なことだが
受けて側でさえ忘れてた記憶をよみがえらせ揺さぶるのも、なかなか出来ることではない。
もし監督が意図的にそう撮ったとしたら怖ろしい。
ホームレス中学生を退屈な映画と感じる人は、恵まれた人生か何も望まなくなった人生のどちらかだろう。
この映画の山場は観客一人一人の記憶により異なる、そして同じ人間でも歳と共に変化していくと思う。