『僕が結婚を決めたワケ』 ロン・ハワードの大人のコメディー
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ロン・ハワードが、久しぶりにコメディーに挑戦した。
一流の映画監督は、どんなジャンルを撮らせてもうまい。
ましてや彼の出世作は、ラブコメの『スプラッシュ』なのだから、むしろ本領発揮と言うべきだろう。
主人公は実業家のロニー。
彼は、仕事のパートナーで大学時代からの親友ニック夫妻を理想のカップルと思っていたが、
ニックの妻が若い男と浮気している現場を目撃し、自身の結婚やニックとの関係に悩むことに…。
笑いと緊張感が同時に味わえる映画だ。
例えば、カメラを持って浮気相手の家に忍び込むサスペンスが、スラップスティックな笑いへと転じていく展開の妙。
このシーンに限らず、ロニーのやることなすことが裏目に出て、ドツボにハマっていく滑稽さからは、悲哀すら漂う。
逆に言えば、どの笑いも一筋縄ではいかない奥行きを伴うため、手放しで大笑いというわけにはいかない。
まさに、大人のための大人のコメディーなのだ。
大作『天使と悪魔』、オスカー候補作『フロスト×ニクソン』を手がけた後に、肩の力を抜いて撮った小品には違いない。
でも、だからこそ引き出しが多くハイレベルなロン・ハワードの演出力がストレートに楽しめる、
佳編に仕上がったと言える。★★★★★(外山真也)
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