北野武監督作品総合スレッドPart20

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386ID:X28S6d9u=糞尿の極悪行為
121 :名無シネマさん:2007/08/09(木) 10:31:13 ID:blP4z+1N
というわけではないが、映画芸術の素晴らしさに感動したという点では最も影響を受けた作品である。
本当にいい映画は、時代を超えて愛される。
「2001年」は変わり種で公開当時は賛否両論だったが、時代を経るごとにしだいに評価されていった。
今となってはSF映画としてでなく、映画史上の屈指の名作として名高い。
当時、アカデミー賞の作品賞候補には当然のこと落選。その年の作品賞はキャロル・リードの
「オリバー!」に渡った。ところが「オリバー!」は当時はセンセーションだったにしても、
現在の評価は低い。無視された「2001年」の方が時代の波に流されなかったというのは、面白い話だ。
ただし、「2001年」はアカデミー賞で、特殊視覚効果賞だけは受賞していた。
視覚効果を担当していたのは、何とキューブリック本人である。
キューブリックの映画技法というものは常にパイオニア的であった。
この映画ではフロントプロジェクションという特殊技術に初めて成功している。
背景はあらかじめ用意しておいた映像を映写して、役者はスタジオで演技をしているだけだ。
従来ならスクリーンの裏から背景を映写するはずだが、キューブリックはハーフミラーを使って
前から映写して、全くそうとは気付かせない映像に仕立て上げている。
もう一つ、スリットスキャンという装置も利用している。これは同作で圧巻といえる
「スペースシャワー」のシーンのあの神秘的な光の映像で使われたものだ。長い映像だったが、
とにかく凄かった。
結局キューブリックが獲得したオスカーといえば、この映画で取った視覚効果賞の一本だけに
終わってしまった。むしろこれで良かったのかもしれない。そのせいもあって、
キューブリックは今日のように神格化されたのだから。