北野武監督作品総合スレッドPart20

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384ID:X28S6d9u=糞尿の極悪行為
120 :名無シネマさん:2007/08/09(木) 10:29:10 ID:blP4z+1N
この映画は僕の思い出の作品である。僕が一番好きな映画といってもいい。本当に一番
というわけではないが、映画芸術の素晴らしさに感動したという点では最も影響を受けた作品である。
僕が一番感動したのは何かというと、それはクラシック音楽が効果的に使われていることである。
僕は前半の宇宙遊泳のシーンが一番好きなのだが、この映像は本当に今見ても溜息がでてしまう。
あまりにも見事すぎるからだ。
使われている曲は、ご存じヨハン・シュトラウス二世の「美しく青きドナウ」。このワルツを宇宙遊泳に
結びつけたセンスたるや、恐るべしキューブリック。
キューブリックは未来社会をゆっくりと優雅にユーモラスに描写していく。
未来社会の生活の様子を描いた作品はいつの時代もユニークなものばかりだが、
「2001年」で描かれている生活感は特別素晴らしい。よく考えると、宇宙遊泳のシーンには
セリフも効果音もない。音楽が流れているだけで、演出はサイレント形式である。サイレント形式で
描いたことで、観客に想像力を膨らませることができたのかもしれない。また、安っぽい効果音も
セリフも排除したことで、このシーンが、永遠に廃れることのない名場面に成り得たのだと思う。
ところで、オープニングとラストでは、リヒャルト・シュトラウスの「ツァラトゥストラはかく語りき」
も劇的に使われている。この前奏曲は、「2001年のテーマ曲」という異名がついてしまって、
もはやクラシック音楽だったということを知る人は少ない。それほど映像にマッチしていたわけで、
観客たちに強烈な印象をたたき込んだのだと思える。音楽だけでもこれほどまでに影響力のある映画は珍しいだろう。