119 :名無シネマさん:2007/08/09(木) 10:23:17 ID:blP4z+1N
「2001年」がSF映画の金字塔であることは誰もが認めることであるが、それはストーリー、映像、音楽、
演出など、あらゆる面において革新的であったからだ。それは、もちろん舞台デザインに関しても言える。
「2001年」では、従来の子供だましの空想は抜きにして、科学的な検証を考慮しての、
リアルな宇宙ステーションが登場するこの企画はイギリス映画だからこそ実現できたのかもしれない。
この宇宙ステーションのユニークな造形は、歪曲した地面である。ステーション全体を回転して
重力を発生させるというかつてなかった画期的なアイデアである。
まだ1968年は、人類が月面に到達する前の年なのに、開拓精神旺盛なキューブリックは
一歩先を行くアイデアで思う存分に楽しませてくれている。だからこそ、磁石靴や、声紋検査装置や、
テレビ電話などが出てくる場面が面白い。
ディスカバリー号が出てくる最初の場面で、船員が船内でランニングしているシーンも最高だ。
床はぐるりと一周して円形状になっている。またやたらとこの通路の幅が狭い。
前にも後にも様々なSF映画が作られたが、これほど風変わりなセットがあっただろうか?
「2001年」の世界観はずばぬけて独創的だったのだ。
ついでに白と赤の二色にも着目してもらいたい。この映画では最初の猿人の場面から最後まで、
頻繁にこの二色が使われている。その対比を見つけて楽しむのもなかなか乙かもしれない。
また、円形と長方形にもこだわりが感じられる。
この映画が何度見ても飽きないのはこういうところにキューブリックの知的センスが
光っているからである。キューブリックはまさしく偉大だったのだ。