★北米で敗色濃厚なPS3とゲーム産業の死・GDC報告
・5日から9日まで米サンフランシスコで開催された「ゲーム開発者会議(GDC)07」の報告の第2回。
今回のGDCで見えてきたのは、少なくとも高性能を売りにするコンシューマー機のシェア争いにおいて、
北米ではほぼ決着がついたということだ。厳しい書き方だがSCEの「プレイステーション3(PS3)」対
マイクロソフトの「Xbox360」の争いでは、PS3の敗色が濃厚になってきた。理由は、北米の有力なソフト
供給会社がPS3に見切りを付け始めていることが明白にわかってきたからだ。
北米のパブリッシャーの大半は、PS3とXbox360のどちらが勝っても大丈夫なように保険をかけて、
両ハードにソフトを投入できるマルチプラットフォーム戦略を取っている。しかも困ったことに
PS3は未だ開発環境が安定していない。
弱点はPS3の心臓部の「セル」プロセッサーである。セルの中に7機搭載されているコア部分
「SPE」を積極的に使おうとすると、プログラミングが複雑になり、Xbox360との互換性の乖離が
激しくなる。そうなると、PS3への移植が難しくなるため、マルチプラットフォーム戦略を取るソフト
開発会社はSPEの7機すべてを使うのを断念しつつある。
GDC期間中に、ある大手パブリッシャーの開発部門責任者から非常に厳しい意見を聞いた。「私の
会社は、マルチプラットフォーム戦略を推し進めているが、PS3版の開発が常に問題を抱えている。
PS3版は、Xbox360版の単なる移植で済ますことができない。」という。
特に困っているのがネットワークに関連する部分だ。Xbox360ではユーザー間のマッチングや
ランキングシステムなどの基本的なプログラムが、マイクロソフトによって提供されているため非常に
容易に開発できる。「しかし、PS3ではそういうプログラムがSCEからまったく提供されていない。
その部分をゼロから自分たちで開発しなければならないため開発費を押し上げ、プロジェクトの大きな
負担になっている」。(笑い)
http://it.nikkei.co.jp/digital/news/index.aspx?n=MMITew000022032007