強迫的なまでに多作の三池崇史の作品の中には
異才を放つ目を見張る異色作から、ひたすら脱力させる失望作まで極端な波があるが
今回は上の部類だと断言したい。
このスレを読んで一つ疑問に思うことは、ゲームを知らない人には分からない、と言う意見が幾つかあること。
かくいう私はゲームを全く知らないが、実に面白かったのだ。
この映画を普通に素直に見ていれば
主人公をとりまく人間関係を一切説明しないのは脚本上、演出上の
狙いであることは火を見るよりも明らか。
過去の経緯は台詞の片隅に必要最小限に絞られた状態で出てくるだけで
改装場面は1カットたりともなかった(と思う)
観客を全くの傍観者の立場において、過去に何らかの経緯の合った人物たちの絡み合いの一晩を
まさに一晩だけの絡みとして描いてみせることこそが、この映画で最も核となる映画的野心だと思う。
そういう意味で、この映画を面白がれるかどうかの分け目は
ゲームを知っているかどうかでは決してなく、
この映画の野心的な構造を理解し受け入れることができるかどうか、にあると思う。
と、随分と誉めてしまったが、基本的にこの映画はバカ映画風味のヤクザ映画だ。
私はそういう映画として存分に楽しんだ