山崎 山口線も含めて検討していたのですが、とにかくC-62じゃないと言う感じになっていました。
でも阿部さんはC-62にこだわっていまして、他のプロデューサーとやり合っているんですよ。
「鉄道オタクはな、C-57が上野に入ってこないのをわかるんだ」
「日本中に鉄道オタクは何人いるんですか、その人たちが全員観に来てくれる保証があるんですか。他にお金を掛けるところはいっぱいあるのに」って。
でも阿部さんは引かないんですね。
それを見て僕は、これは駄目だ、このこだわり方は多分、阿部さんはこの映画がなくなっても、C-62だけは守るくらいのことはしかねない凄く重要なポイントだから、これは絶対外せないな、と思ったんです。
じゃあ、梅小路機関庫に駅を作ろうか、と。
で、予算管理をしているライン・プロデューサーが--彼はずっと僕と一緒に映画を作っているんで、考え方、ポリシーというのはお互いに似通ったものを持っているんだけれども--流石にこのときは「えっ! 駅!!」と言って絶句です。
まあカットを工夫して、ホームと柱があって、人が出る部分だけをフォローしてくれれば、あとはCGとかで僕がなんとかしますから、と言ったんですが、試算したら結構な金額になっちゃったんですよ。
というのも美術さん、大道具さんを現地に送らなきゃいけない、それに機関区もそういうのを作るようにはできていないんで、重機を入れるのも一苦労みたいな感じだったんですが、阿部さんは折れるわけないから、やるしかないよね、と。