エドワード・ズウィックは大学時代より歴史学に大いに関心を抱き、時間
の大きなうねりに翻弄されながら興亡を重ねてきた人類の運命に、善悪の
二元論を超えた共感を覚えるようになった。そしてそれぞれの時代の過渡
期にあって、異なる価値が対立する中で各々の立場に殉じていった人々の
姿に美しささえ感じ、とりわけ「時代に捨てられた者達」への同情は大き
なものとなっっていった。17才時に黒澤明監督作品「七人の侍」に感銘を
受け、自分もいつかこんな映画を撮ってみたいと密かに期していたズウィ
ックは、同時に日本文化にも興味を持ち、日本の歴史に関する書籍を相当
数読んだという。『アイバン・モリスの「高貴なる敗北〜日本史の悲劇の
英雄たち(中央公論社・絶版)」には深い感動を覚えました。西郷隆盛の
物語です。最初は新政府の樹立に尽力したもののやがては反旗を翻した日
本で最も有名な人物の一人です。彼の美しくも悲劇的な生涯が、僕たちの
架空の物語の出発点となりました。』